ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

名鉄全線に乗る!

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(写真1 名鉄名古屋駅。線路は2本だけ。1日に1千本の列車が通過する過密ダイヤ)

20路線444.2キロ275駅

 名鉄(名古屋鉄道)全線を乗りに出かけた。これまでも一度以上は全線に乗ったことはあるのだが、改めて乗ってみた。5月8日から10日までの3日間にわたって、名鉄ばかりではないが名古屋地方の鉄道をJRを除く私鉄を中心に乗った。大半が名鉄だった。
 それでわかったこと。中京というか、東海というか、それなりに定義によって少しずつ異なるようだが、わかりやすく一口に縮めて言えば大名古屋圏と言うことか。東京圏、大阪圏に次ぐ大都市圏だから当然だが、とにかく大きいということ。圏内の人口は1千万ほどか。
 その大名古屋圏で名鉄は、旧国名で三河から尾張、美濃にまたがり、現在の愛知県の全域から岐阜県に渡って四通八達していた。人々のいるところに名鉄が路線網を伸ばしたのか、名鉄が走っていたので発展したものか、いずれにしても名鉄の役割は大きいように思われた。
 名鉄は、営業距離が444.2キロに及び、路線数は20に達する。営業距離は近鉄、東武に次いで大手私鉄第3位である(東京メトロを除く)。
 名鉄の路線網は、中心の名鉄名古屋から、大きくは東の豊橋、西の名鉄岐阜、北の犬山、南の常滑へと伸びている。豊橋から名鉄名古屋を経て名鉄岐阜へと至る名古屋本線を幹線に多くの支線が枝を伸ばしており、路線数は実に20にも達する。
 名鉄名古屋。JRの名古屋、近鉄名古屋駅とも隣接し、大ターミナルを構成している。ただ、名鉄名古屋駅は地下駅にわずか3面2線のホーム。このホームに朝の通勤時間帯立っていると、ほぼ2分間隔で列車が発着している。猛烈な過密ダイヤで、ホームにはホームドアもないからちょっと恐いくらいである。何でも、1日の通過列車本数は1千本にもなるというから凄まじい。
 豊橋、常滑方面が4番線、名鉄岐阜、犬山方面が1番線で、島式1面2線の2番線3番線は降車専用ホームである。
 列車を待っている発車ホームの対面上部には、行き先別の表示が掲示されていて、足もとには整列乗車のラインが引かれている。行き先表示と整列乗車ラインは同じ色に色分けされている。4番線なら、紺色で岡崎・豊橋方面、青色で大江・太田川方面、緑色なら河和・内海/中部国際空港方面といった具合である。
 これに、快速特急、特急、快速急行、急行、準急に各駅停車と列車種別があり、さらに特急には一般車と特別車という車両のグレードも種別されていて、はなはだ複雑。特別車には有料のミューチケットが必要となっている。。
 こうした状況を満員のホームで観察していると、茫然としてくる。これほどの過密ぶりは東京にもないくらいだ。名鉄名古屋駅は通過列車ばかりで、この駅止まりや折り返しという列車はないようである。それは、これほどの過密本数をさばく上で必要欠くべからざることだったのであろう。
 名鉄の路線網あるいは名古屋周辺の地図が頭に入っていないと、やってきた列車がどこに向かうのか、とっさには戸惑う。豊橋方面に向かおうとしていて、豊明行きという列車が入ってきたのでどのあたりに行くのか、知立の手前かその先か、近くにいた大学生に尋ねたら本線なのにわからないと素っ気ない返事だった。乗ってわかったが、知立の三つ手前だった。ちなみに、この知立は名鉄で重要な分岐点で、本線上にあって三河線との接続駅となっている。

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(写真2 名鉄岐阜駅の改札口。行き先表示には、普通犬山、快特豊橋、普通須ヶ口、特急中部国際空港、急行新羽島などと並んでいる。ホームは2階建てで、列車は数分間隔で発着している)

 豊橋のような行き止まり駅はともかく、起終点駅として重要な位置を担っているのは、犬山。小牧線のほか、犬山線が合流し、広見線と各務原線が発着している。同じように名鉄岐阜も大きな駅。ホームが2階建てになっていて新しい駅舎。駅前を岐阜市内線が走っていたのはもはや昔のこと。本線の起終点であるばかりか、各務原線、竹鼻・羽島線も発着している。
 運行形態も奇抜と言えるほどだ。車両運用のせいでもあるのだろうが、碧南という三河線の終点で列車を待っていたら新鵜沼行きという特急列車があったり、尾西線の終点弥富では東岡崎行きの特急があったり、西尾線と蒲郡線が連絡する吉良吉田からは佐屋行き特急が出ていたが、この地方に明るくないと佐屋ってどこ?ということになりかねない。
 名鉄名古屋の過密を分散している役割を担っているのが金山で、次の神宮前では知多半島に向かう、河和線、途中の富貴から分岐する知多新線、太田川で常滑線が分岐し、さらに空港線へと伸びている。中部国際空港ではこれまでに二度国際線で出発したり到着したりした経験を持っているが、空港連絡ダイヤはかつてに比べると格段に増強されているよだった。
 名鉄は、小さな線区も多いからこれらを乗りつぶそうとするとはなはだ難儀。三河線は梅坪から猿投へと4.2キロ3駅延びているし、その梅坪からは豊田市始発の豊田線が分岐している。変わっているのは瀬戸線で、他の名鉄とは一切交わっていない。また、広見線は新可児から御嵩間は運転系統が変わっていた。西尾線は吉良吉田が終点なのだが、西尾から先吉良吉田まではまるで別の線のように運転系統が変わっていて、連絡も悪くて1時間以上も待たされた。

 それにしても、名鉄は、名鉄名古屋の前後はもとより、どこかで事故が発生すると、その影響は多方面に及び、復旧には随分と時間を要するだろうと懸念された。それは、ダイヤが過密であるばかりか、車両運用が複雑で広範囲に及んでいるからだと思われた。

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(写真3 吉良吉田駅。西尾線の終点であり、蒲郡線との接続駅である。ここが始発の特急佐屋行きは、何と西尾線・名古屋本線・津島線・尾西線と4つの路線を渡っていく)