ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

映画『記者たち』

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(写真1 映画館に掲示されていたパンフレットから引用)

衝撃と畏怖の真実

 イラク戦争を仕掛けたブッシュ大統領の嘘を暴いた記者たちの行動を描いている。
 9.11テロを契機にイラク政策をエスカレートしていくブッシュ大統領に対し、ニュー・ヨークタイムズはじめ大ジャーナリズムまでこぞって支持を与えていく中、ナイト・リッダー社の記者たちは、攻撃理由になっていた大量破壊兵器の有無以前から ブッシュがイラク侵攻の計画を進めている事実をつかむ。ブッシュは、北朝鮮、イラク、イランをテロ支援国家として指定してイラク攻撃の糸口を探っていたのだった。
 ナイト・リッダー社は中小新聞社だが、国内30数社のメディアにもソースを流していた。同社は、アメリカはベトナムに続いてまたしても無理筋の戦争を仕掛けようとしていると読んでいた。
 取材は、国務省や国防総省などの下級職員をつかまえて傍証を重ねていく作戦。しかし、確証はなかなか得られず、取材は困難を極める。小さな情報をつかんではウラをとっていく地道な取材が続く。
 緊迫したスリリングな場面が続く。これがこの映画の見どころ。そして、この映画のリアリティを高め物語の進行を促しているのが頻繁に挿入される実際のニュース映像で、映画にドキュメンタリー性をもたらしている。
 副題の「衝撃と畏怖の真実」の、「衝撃と畏怖」は実はブッシュによるイラク侵攻の作戦名。映画はその真実を暴いたわけだが、しかし、その結論は今や衆目の知るところ。その意味で映画は迫力に今一つ欠けていたといわざるを得ないであろう。
 ただ、大事なことは、ニューヨーク・タイムズですら政権に迎合し過ちを犯したこと、そういう状況の中で敢然と真実を追究していった記者魂は讃えられよう。
 大統領の陰謀を暴いたということでは、傑作『大統領の陰謀』を彷彿とさせるが、本映画と『大統領の陰謀』との違いは何かと考えると、ニクソンは倒れたが、ブッシュは任期を全うしたということ。
 そしてもっと大事なことは、政治家というものは国難をあおって支持を得ようとする人種だということを知ることだ。これは他山の石としなければならない。