ABABA’s ノート

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特別展『国宝 東寺』

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(写真1 守護神らしくりりしさの感じられる帝釈天騎象像)

立体曼荼羅を東京で再現

 東京国立博物館で開催されている。
 東寺は、そもそも空海が真言密教の根本道場としたものだが、展覧会では空海にまつわる名宝と東寺に伝わる文化財の全貌が紹介されていた。110件の出展があり、うち、国宝31件、重要文化財60件という貴重さで、国宝・重文の印のないものの方が少ないという豪華さ。
 圧巻はやはり立体曼荼羅。密教経典の世界観を立体的に表したもので、東寺では講堂に如来や菩薩など21体の仏像を配置しているのだが、会場に入ると、まるで集会(しゅうえ)というにふさわしい数多くの仏像が展開しており、主尊こそなかったものの、実に15体もの仏像が出品され、曼荼羅世界の神髄が再現されていた。
 東寺は京都駅にもほど近く、五重塔が見えてくると時間の許す限り寄りたくなるのだが、いつ訪ねても立体曼荼羅を揃ってみる機会は意外に少なくて、このたびの展覧会は実に貴重なことだった。それにしても、15体も東京に外出してしまって、東寺ではどうしているのだろうかと、余計な心配までしてしまった。
 展覧会のいいところは、仏像を360度に観ることができることも一つ。基本的な知識に欠けるから鑑賞は浅くなるのだが、それでも一つひとつをじっくりと観ていくと、仏像は随分と変わった形のものが多いと気づく。如来は飾りもなく端然と座っているだけだが、明王などは姿ばかりか顔も個性的。
 顔といえば、いいお顔をしていたのは帝釈天騎象像。展示されている15体のうちこの仏像だけは写真撮影が許されたが、そればかりではない人気を集めていた。 いつ見ても武人らしい毅然とした姿と、仏法の守護神らしいりりしさがあり、象に乗っているというのも珍しくはないか。
  ほかに注目したのは、兜跋毘沙門天立像。中国で唐時代に造られたもののようで、圧倒的存在感が感じられた。何しろ像高が189.4センチもある。私は京博の国宝展で見たことがあるが、これも日頃公開されることは少ないもので貴重な機会だった。また、地蔵菩薩立像もいいお顔をしていらした。