ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

JR八戸線

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(写真1 鮫駅を過ぎると右窓丘の上に見える鮫角灯台)

三陸縦貫鉄道構成路線

 三陸鉄道リアス線を久慈から乗るためには八戸線で向かう必要がある。
 八戸線は、八戸から久慈を結ぶ全線64.9キロの路線。青森県から岩手県にまたがり三陸海岸北部に位置し、仙台から八戸に至る三陸縦貫鉄道を構成する。
 起点の八戸駅は、東北新幹線、青い森鉄道との接続駅。かつては尻内駅と呼ばれていて、現在の本八戸駅が八戸駅だった。1971年に現在の形になった。なお、八戸線は沿岸を走る路線ではあるのだが、高台の区間が多かったため甚大な被害の箇所が少なく、震災から1年後の2012年3月17日には復旧している。これはJRの在来線では最も早いものだった。ちなみに、八戸線は新幹線を除けば他の在来線との接続がまったくない孤立線であり珍しい存在。
 三陸鉄道リアス線に乗るべく八戸線に乗ったのは3月24日。リアス線開業一般営業開始初日である。だから、リアス線にも初日に乗ることは可能だったのだが、あえて初日の混雑を敬遠したのだった。
 さて、八戸15時15分発久慈行き。3両のディーゼル。東京から来た新幹線との乗り継ぎ時間はわずか10分。よすぎるくらいだ。
 八戸を出て長苗代を過ぎると馬淵川(まべちがわ)を渡った。2本の鉄橋が並んでいる。1本はもとより八戸線だが、もう1本は貨物線の八戸臨海鉄道のものであろう。
 なお、馬淵川は、岩手県に発し、八戸で太平洋に注いでいるのだが、三浦哲郎の芥川賞受賞作『忍ぶ川』に登場していて印象深い。馬淵をまぶちではなくまべちと読むということも初めてここで知った。
 続いて本八戸。高架のホーム。改札口のすぐ向かいにある小高い丘の上が、南部八戸藩の城址である。八戸は有数の漁港であることはもちろん城下町でもあったのである。近年では、新産業都市として工業化が著しく進んだ。
 鮫。左窓に八戸港が続き、ウミネコの繁殖地として知られる蕪島が見える。
 そして、この鮫の駅を出ると右窓に目をこらすことが必要。数分で丘の上に真っ白な灯台がすっくと建っているのが見えてくる。鮫角灯台である。灯台に登れば、鉄道を眼下に、眼前に太平洋の大海原が広がっているのを見ることができる。鉄道から見える灯台としては全国屈指のものではないか。車窓も、灯台も海を見ているから意外に気がつかないものなのである。

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 (写真2 左窓には白砂青松の美しい海岸線が続く)

 陸奥白浜。このあたりから美しい海岸線が延々と続く。まさしく白砂青松である。
 階上を過ぎて岩手県に入った。すると間もなく種市。ここの種市高校はちょっと変わった存在。海洋開発科は全国で唯一の潜水士養成学科なのである。〝南部潜り〟の伝統を受け継ぐもので、この科では水中溶接の実技訓練も行っている。震災で被災した港湾の修復に大いに活躍した。
 そうこうして久慈到着。16時57分。八戸から約1時間40分。JRの駅舎があり、三陸鉄道の駅舎は隣り。
 駅頭に立つと猛烈に寒い。4℃くらいらしい。凍えるようだった。

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(写真3 こちらはJR久慈駅)