(写真1 会場で配布されていたパンフレトから引用)
江戸絵画ミラクルワールド
若冲から蕭白、芦雪ら8人の奇才の作品が一堂に並んでいてまことに圧巻。
その8人がすごい。伊藤若冲、曽我蕭白、長沢芦雪、狩野山雪、岩佐又兵衛、鈴木其一、白隠慧鶴、歌川国芳とあっていかにも豪華。
いずれも近年になって注目され人気の出てきた画家ばかりだが、そのきっかけとなったのは、1970年に出版された辻惟雄著『奇想の系譜』だったといわれる。本展は同書を下敷きに企画が組まれたようだ。
会場に入ると、画家単位で作品が展示されている。トップは若冲。まずは「象と鯨図屏風」(1797)。象と鯨が対峙している。六曲一双の大きな屏風絵で、白い象と黒い鯨の対比が面白い。描いた若冲も奇想だろうが、誰が描かせたものか知らないが、これをしつらえた人物も異能ではないか。
大胆な構図あり、緻密な描写あり、極彩色ありと何と自由闊達な絵画世界であろうか。これぞ前衛である。
一般に絵画の展覧会で鑑賞時間が2時間を超すことは私の場合稀なのだが、この日は作品ごとに足を止めて感じ入っていたから3時間に及んだ。それだけ面白かったということ。
好き好きのことだが、私が美しいと感じたのは又兵衛の「伊勢物語」。また、これはあちこちの展覧会で目にしているものだが、山雪の「寒山拾得図」と慧鶴の「達磨図」はここでも面白かった。
(写真2 狩野山雪「寒山拾得図」=会場で販売されていた絵はがきから引用)