ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

入場料1500円の書店「文喫」

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(写真1 店内の書棚の様子。通路が狭い)

従来のコンセプトが合致しない書店

 入場料が1500円もする書店ができたというのでのこのこ出掛けてみた。場所は地下鉄六本木駅のすぐそば。昔、青山ブックセンターだったところ。
 店内に入ると、左に雑誌の棚。右はレセプションカウンター。ここで入場料を払ってバッジをもらう仕組み。外税だから1620円が必要。入場料を取る書店自体が珍しいが、料金も結構なもの。単行本が1冊買える。
 正面の7段ほどの階段を登るとすぐに書棚、右に喫茶室。時間帯にもよるのだろうが、平日の午後だから空いていた。まずは自分の席を確保。
 書棚を一通り見て回る。90センチ幅6段の高さの棚が8本。これが背中合わせにあって3列。ほかにも短い列がある。
 食、ライフスタイル、日本文学、海外文学、歴史、宗教や自然科学からアート、ファッションなどと一通りの分野が並んでいる。
 日本文学の棚を見たら、大江健三郎全小説3があった。この巻には「政治少年死す」が含まれているからかねて欲しいと思っていたが、5000円もするから手が出ないでいた。ほかにも髙橋和巳の著作もあったりして品揃えの傾向がわかるようだった。
 また、浅沼圭司『映画美学入門』(水声社)があった。1963年に美術出版社から刊行された本で、当時映画青年だった私はバイブルのようにして読んでいたものだった。どうやら復刊されたものらしい。
 棚の造り(本の配列)がランダムになっていたが、これがこの店のコンセプトなのだろうと思われた。これはこれで思わぬ発見があったりするから面白い。

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(写真2 絶対的に棚の数が少ないようだ)

 このように興味深い本棚なのだが、いかんせん、並べられている本の絶対数が圧倒的に少ない。パンフレットには3万冊と謳われていたが、私がざっと目分量で計算して見たところ、およそその半分ほどではないかと思われた。これなら、郊外の駅前商店街にある小さな書店ほどにもならない。これでは思いがけない出会いも生まれにくいのではないか。
 テーブルは、コンセントやライトなども備え付けられた閲覧室に椅子が12席。ほかに大きなテーブルなども用意された喫茶室があり、全て合わせると60席ほどか。
 閲覧室に陣取っている人たちは、パソコンを持ち込んでいる者も多かったし、喫茶室でもスマートフォンなどを見ている人たちが多くて、本を読んでいるような人は2割にも満たないようだった。開店したばかりだし、見学に来たという様子の人が圧倒的に多かった。
 私は3冊の本を選んで席に着いていたが、コーヒーと煎茶は飲み放題。しかし、どちらもおかわりしたくなるような代物ではなかった。
 この店のいいところは、何時間粘っても、周りが気にならないこと。1500円も出しているのだから滞在時間を長くしたくなる。それで、思わぬ本が見つけられるのであればこれはうれしいこと。

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(写真3 エントランスの様子。左は雑誌のボックス。右がレセプションのカウンター)

 面白いと思ったのは雑誌の棚。1冊1冊の雑誌の棚がボックスになっていて、例えばミステリーの雑誌のボックスを開けると、中には関連した書籍が入っているという案配。
 ここの本は売っているわけだが、ざっと見ただけだが、2時間滞在していて、本を購入している人の姿は一人も見かけなかった。どれほどの頻度で棚卸しをするものなのか、補充はどうするのか、この店は取り次ぎ大手日販の関連会社だから、そういうことはお手の物だろうが、半年後1年後の様子が知りたいものだと思った。まあ、何しろ滅多に本屋に足を運ばない人向けの本屋のようだった。

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(写真4 喫茶室の様子)