(写真1 サイドリザベションになっている田崎橋停留所。停車中の電車は水戸岡鋭治設計の0803車両)
九州の路面電車を訪ねて②
九州にも路面電車は数多く走っていた。福岡や北九州にもあったが、現在残っているのは長崎や、ここ熊本のほか鹿児島だけ。
熊本は、松山と並んで路面電車の似合う城下町だ。通町筋などお城を仰ぎ見ながら路面電車が走る様子はとても風情がある。
熊本で路面電車は熊本市交通局が運行するいわゆる市電。かつては、川尻線などと幾つもの路線があったが、現在は、線区上は5つになるものの、運転系統としてはA系統(田崎橋-健軍町)、B系統(上熊本駅前-健軍町)の2系統。
ラインカラーが赤のA系統は、田崎橋を出ると、二つ目が熊本駅前。この間はサイドリザベーションになっている。つまり、ホームが道の真ん中ではなく歩道寄りに設けられているということ。乗客としてはとても利便性が高い。日本の路面電車で初めての取り組みだった。その後、札幌市電もループ化の際に一部区間をサイドリザーべーション化している。
乗った電車は新型車両で、同席した女性によると、著名な鉄道車両設計者水戸岡鋭治設計になる車両だとのこと。なるほどしゃれていて、超低床の連接車だった。
(写真2 上熊本駅前停留所)
一方、青をラインカラーとするB系統は上熊本駅前が起点。この停留所はJRと熊本電鉄の上熊本駅に接する。なお、ここには市電の車庫があった。
上熊本駅前を出ると間もなく熊本城の外縁をぐるり取り囲むように進む。熊本城の大きさがわかる。辛島町で右から並行してきたA系統と接し、この先はA系統、B系統ともに同じ線路を進む。
ほどなくお城を仰ぎ見るようになり、市役所の前で右に大きく曲がり通町筋の停留所。このあたりが熊本の繁華街か。左右にアーケード街が連なっている。なお、今回はお城には登らなかったから、復興の様子はつまびらかではない。
豊肥本線とクロスし、水前寺公園を過ぎるとほどなくして終点健軍町。この停留所に降り立ったのは三度目だが、この付近には陸自の駐屯地があるようで、西武方面総監部も置かれているようだ。
(写真3 市電から仰ぎ見る熊本城)