ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

金井一郎『銀河鉄道の夜』

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(写真1 開催案内のはがきから引用)

翳り絵による光の劇場

 展覧会場に一歩足を踏み入れると、薄暗い中に影絵のボックスが展示されてある。淡い光が絵を浮かび上がらせている。
 影絵のボックスは20ほども並んでいるか。順に見ていくと、午后の授業、活版所などとあって、なるほど宮澤賢治の『銀河鉄道の夜』の世界だ。
 会場に作者の金井さんがいらしたのでお話を伺ったら、翳り絵(かげりえ)という手法なのだそうで、影絵の一種だと言うこと。光源とパラフィン紙の間の2枚の黒い紙に針の穴を開けピンホールが像を結んでいく要領のようだ。
 光源には様々なものを試したのだそうで、蛍光灯なら画像が広がりすぎるし、LEDではスポットが強すぎると言うことだった。
 金井さんは72歳。40年もこの手法に取り組んでいるのだそうで、題材には『銀河鉄道の夜』に永年執着して追求してきていると言うことだった。
 この画像を使った絵本『銀河鉄道の夜』はミキハウスから出版され、ロングセラーになっている。
 言わば銀河鉄道の夜に魅入られたようなものだが、当方の「こういうもので生活は成り立つのですか」という失礼な問いかけにも反発するわけでもなく、「ニートみたいな生活を送ってきました」と笑いながら率直に応えていて、金井さん自身が銀河に遊んでいるような雰囲気だった。
 会場は独特な光と影の世界に満ちていて、絵画にしろ、映画にしろ、写真にしろ、あるいは小説でさえ光と影で構成されているわけだから、そういう意味ではこの翳り絵は最もシンプルな光と影の造形と言えるのかも知れないと思ったものだった。
 京橋のアートスペイスKimura ASK?で開催されていた。

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(写真2 開催案内のはがきから引用)