ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

新京成線つたい歩き②

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(写真1 路線中の大きな駅八柱駅前。右隣がJR新八柱駅)

素晴らしい景観の常盤平の桜並木

 みのり台駅を出てそろそろお昼。歩きながらいい店はないものかと物色していた。鰻屋があったが時間がかかりそうで敬遠。うまそうなラーメン屋があったが、ここは12時前だというのに列が外にまではみ出している。焼き肉屋も本格的すぎるなどと歩いていたら12時ぴったりに八柱(やばしら)駅到着。ここまで約2時間かけて路線距離なら4駅3.8キロにしかならない。急ぐ旅ではないが、ちょっとのんびりしすぎているかも知れない。
 すぐ隣に並ぶようにJR武蔵野線の新八柱駅もあって大きな駅前でにぎやか。しかし、結局は気に入った店が見つからなくて手近なラーメン屋に入った。ビールを飲みたかったが、この先まだまだ歩かなければならないし自重した。

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(写真2 見事な景観のさくら通り。日本の道100選)

 12時40分ウォーキング再開。風もなく陽射しもあって歩いているとちょっと汗ばむほどだ。ほどなく「さくら通り」に出た。日本の道100選とある。なるほど見事な桜並木が続いている。随分昔になるが、桜が満開のころに来たことがあるが、まるで桜のトンネルのようだった。
 この通りは一直線に線路に並行している。線路際にも道はあったが、美しい街路だし、街並みも素晴らしいのでそのままさくら通りを歩いていた。しかし、あまり長い時間線路から離れていてもつたい歩きの趣旨に反するかと思い、途中から再び線路沿いを歩いた。
 そうすると、線路の向こうに21世紀の森が見えた。松戸市の運動や文化の総合公園で、先日のことだが、この一角にある松戸市立博物館に来たばかりだった。
 相変わらず電車が頻繁に通過している。平日の日中にしては列車本数は多く、調べてわかったことだが、この地域で都心へ乗り入れている大手の路線よりも本数は多いそうである。このことはつたい歩きではわからず、乗ってみないとわからないが、駅間距離も短く、細かく乗降する生活路線としても定着しているのだろう。列車は6両編成で、クリームにピンク色の車体や、ベージュに茶の帯の塗色など3種類の車体色が見られた。
 どうも、鉄道の方に関心がいって、つたい歩きとはいいながら沿線風景への眼の配りが少ないかも知れないなどと考えていたら、常盤平(ときわだいら)駅に到着した。13時15分。駅前はロータリーになっていて、さくら通りに直角に伸びている道はけやき通りというようで、これも景観の素晴らしい並木だった。
 この周辺は常盤平団地。1960年前後に開発された大団地で、当時は文化的生活に憧れる庶民にとって人気だったのではないか。ただ、かつての大団地もこの頃では高齢化しているようだが、ここはどうか。
 さくら通り沿いには立派な戸建て住宅が並び、しゃれたカフェなどもあって素晴らしい景観を守っていたが、子供が大きくになるにつれて、団地を出てこの通り沿いに戸建て住宅を構えた人も少なかったに違いないと思われた。
 そんなことを考えながら歩いていたら五香(ごこう)駅に到着した。13時52分。美しい名前の駅だが、どうやらさくら通りはここまでのようだ。
 上空をしきりに自衛隊の航空機が飛来している。比較的低い高度で飛んでおり、機影がはっきりし、爆音も大きい。4発のエンジンを搭載しており、柏市にある海自下総基地所属の対潜哨戒機であろう。
 また、地上では選挙が近いらしく、選挙カーが候補者名を連呼している。どうやら松戸市議会議員選挙らしい。
 元山駅14時27分。ここから線路つたい歩きが難しくなり、見当をつけて広い道路を進んでいったら、踏切に当たった。何とこの日初めての踏切だった。
 踏切の手前右手は陸自松戸駐屯地の広大な敷地で、線路つたいができない。それで踏切(元山3号とあった)を渡り、その先を右折しようとしたが、今度は大きな団地に行く手を阻まれた。
 このあたり、鎌ケ谷市となっていて、松戸駅を出て歩きはじめてから初めて松戸市を脱出したことになる。大きな団地は初富住宅というらしく、ここを突っ切らせてもらった。
 大きな見当は間違っていなかったらしく、この日2度目の踏切を越すとくぬぎ山駅だった。この時14時58分。駅のすぐ目の前に新京成電鉄の本社ビルがあった。
 この日の当初計画では、新京成線全線は到底無理としても、中間地点の新鎌ヶ谷駅までは足を伸ばす予定だったが、すでに歩きはじめて5時間にもなっているし、疲労が強いわけでもなかったが、初めてのつたい歩きで張り切りすぎて無理をしてもいけないと思い、この日のつたい歩きはここで打ち切った。ここまで松戸駅から路線距離で9.6キロだった。
 それにしても、踏切は最後になって渡ったが、結局、橋は渡らなかったのではないか。そういう意味でも面白い路線だった。
 初めてのつたい歩きだったが、とにかく楽しかった。鉄道は乗ってばかりの自分としては不思議な気持ちだった。歩ききれなかった部分は、いずれ再度チャレンジする機会もあるだろう。

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(写真3 くぬぎ山駅前の新京成電鉄本社ビル)