ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

越 信行『絶景駅100選』

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最も輝いている季節を選んで

 生涯一度は行きたい春夏秋冬の絶景駅-とある。
 著者は、駅旅写真家と名乗っているが、鉄道あるいは鉄道写真の世界にもいろいろなカテゴリーがあるものだ。
 その著者が、何と全国4500もの駅を旅して、美しいカラー写真で紹介している。それも、駅にも旬があるということで、最も輝いている季節を選んで。
 13駅を選んだ春が似合う絶景駅の中では、私には島根県にある山陰本線の田儀駅の写真が良かった。海に面したホームに大きな桜の木が満開の花を付けていて、寂しい路線なのにこの季節ばかりは華やいだ雰囲気を漂わせている。
 夏の中では、長崎県の島原鉄道古部駅が諫早湾に沈む夕陽が美しかったし、秋では、兵庫県北条鉄道網引駅のイチョウの落ち葉が見事だった。
 冬が似合う駅の中では、群馬県わたらせ渓谷鉄道神戸駅の、雪に覆われた風景が珍しかった。
 私も鉄道ファンで、全国の鉄道は全て一度以上は乗った経験を持っているが、それも春夏秋冬季節を変えて乗るように心掛けているが、ただ、私は徹底して乗って車窓を楽しむ流儀で、駅に降り立って鉄道を楽しむという風にはない。旬を選んで全国数千もの駅に降り立つというのは並大抵の努力ではないだろう。
 鉄道写真の世界も奥深く幅広い展開だが、駅に焦点を絞って追求しているというのは珍しいかも知れず、それこそ駅旅写真家の真骨頂で、そういう意味では貴重な一冊となっている。
(山と渓谷社刊)