(写真1 展示されていた「菩薩半跏像」)
仏教美術のふるさと
千葉県松戸市の松戸市立博物館で開催されている。市制施行75周年、開館25周年記念特別展とある。博物館へは新京成電鉄八柱駅・JR武蔵野線新八柱駅から徒歩約15分。美しい桜並木の通りを抜けていくと21世紀の森と広場という広大な施設の一角にあった。
「仏教文化の姿と形」と題して、ガンダーラの仏教文化からシルクロードを介して日本へと至る仏教文化の流れがわかるような充実した内容の展覧会となっていた。
ガンダーラとは、紀元前6世紀から11世紀にかけて現在のアフガニスタン東部からパキスタン北西部に存在した王国で、一般にペシャワールとして知られ、ペルシャと中央アジアを結ぶ重要な交通路として繁栄した。また、この地に興ったガンダーラ美術は、ギリシャからシリア、ペルシャ、インドなどと様々な様式を取り入れた仏教美術として知られる。
会場に入ってすぐに迎えてくれたのは「仏陀立像」(個人蔵)。2-3世紀のガンダーラ出土品で、美しい姿をしている。ちょっと頭部の小さいのが特徴か。
そう言えば、拙い知識だが、初期のころには偶像崇拝を禁じられていた仏教で、仏像が登場してきたのはギリシャ文化の影響によるもので、こうしてガンダーラへもたらされてきていたということなのだろうと思われた。そういうことで、ガンダーラは仏教美術のふるさととして親しまれているのだろう。
この隣に並んで展示されていたのが「菩薩半跏像」(1-4世紀、ガンダーラ出土=松戸市立博物館蔵)。左足を右足の上で組んでいる姿で、首飾りなどで飾っている。
ハッとするほど美男だったのはアフガニスタン出土という「仏頭」(4-5世紀)。表情が柔らかく、石造でもなさそうで、係員に尋ねたところ材料はストゥッコだという。つまり、漆喰ということだが、その端正な美しさにはほれぼれとするようだった。
それにしても、専門的なことはわからないが、ガンダーラから日本へとたどり着くまでには、仏教美術も随分と変容したことがわかるようだった。
(写真2 松戸市立博物館外観)