ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

ジェフリー・アーチャー『嘘ばっかり』

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最新短編集

 全14冊に及ぶ空前の大河小説『クリフトン年代記』が完結したばかりで早くも次ぎに短編集。アーチャーといえば、長編のストーリーテラーと思いきや短篇もいける。短編集としては7冊目で、本作には15本の短篇が収められている。
 短篇の妙味は、結末にある。つまりオチということだが、ハッピーエンドあり、どんでん返しあり、しみじみとした結末が待っていたり、予想外の結末に嘆息したりと、アーチャーの短篇はいずれも結末が秀逸だ。
 中には、「生涯の休日」のように、三つの結末が用意されているものまであって、どれにするかは読者が選ぶようになっているものまであるという凝りよう。
 好みで言うと、「上級副社長」が面白かった。二転三転した物語も良かったし、思わずにやりと笑いたくなる結末はしゃれたものだった。
 ただ、結末を紹介するとネタバレになるし、短篇の面白さはほとんどそこに凝縮されているから、ほとほと困ってしまった。
 それにしてもアーチャーはサービス精神旺盛な作家で、「次作についてのお知らせ」と題して、著者自身が大作と位置づけている次の長編の初め3章分を披露しているのだ。これを読むとどうしたって次作が読みたくなるから、アーチャーはいやはや商売人だ。
(新潮文庫)