ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

展覧会『仏像の姿』

f:id:shashosha70:20181021164755j:plain

(写真1 会場で配布されていたパンフレットから引用=中央の仏像は「不動明王立像」)

仏師がーティストになる瞬間

 仏像の姿(かたち)と題する特別展が日本橋の三井記念美術館で開催されている。
 仏師がアーティストになる瞬間というキャッチフレーズのもと、仏像を顔や装飾、動きとポーズという切り口で展示していてなかなか面白い構成だった。
 そういう視点で集められた仏像の展示だったから、見る側としても仏像をアートとしてとらえるところがあって、一つひとつを子細に見る姿勢になり、随分と時間をかけて堪能したのだった。
 例えば、「不動明王立像」(鎌倉時代、個人蔵)は、表情や姿が躍動的で、剣をかざして悪に立ち向かっている様子が生き生きとしていた。一般的には不動明王といえども、表情は憤怒をあからさまにしていても、ただ立っているだけの仏像が多いから、とてもユニークで面白かった。
 また、「阿弥陀三尊像」(平安時代、大阪・四天王寺)のうちの両脇侍像は、ともに足を後ろに跳ね上げたポーズをしていて、仏像にもこんな愛嬌のあるものがあるのかと思うと楽しかった。
 しかし、そうは言っても、私は仏像はあくまでも慈悲深い表情のものが好きで、「地蔵菩薩立像」(鎌倉時代、奈良・春覚寺)はやさしく慈しみ深いお顔をしていて、思わず手を合わせたくなる美しさだった。また、「阿弥陀如来立像」(鎌倉時代、滋賀・観音寺)はきりっとした美しさだった。
 一方、この展覧会で注目したのは、藝大文化財保存学の教室が出品した模刻作品。模刻することによって、古い時代の仏像の制作過程の解明などの研究になるようだったし、何よりもその完成度の高さには驚嘆した。