(写真1 太平洋に臨む安房埼灯台全景)
城ヶ島の灯台②
安房埼灯台は城ヶ島の東端に位置する。
三崎口駅からバスで城ヶ島に向かうと、城ヶ島大橋を渡ってすぐ白秋碑バス停があり、ここから丘の上に登ること約10分。登ったところが県立城ヶ島公園で、松林や芝生が美しくよく整備されている。
公園を突っ切ると太平洋に臨んで眼下に白堊の灯台が目に入ってくる。岩礁が連なっていて、灯台はその先端にあった。
丘を下りて、歩きにくい岩礁を伝いながら進む。海岸沿いには磯釣りを楽しんでいる人の姿が多い。
灯台に到着すると、灯台はまさに波をかぶっている。高さわずか数メートルの岩場であり、まるで屹立しているように見える。
(写真2 岩場の先端に建ち波をかぶっている安房埼灯台)
灯台は真っ白な円塔形をしている。和ローソクなような形をしており、ローソクの上部灯心に当たる部分に灯器が載っている。LB型であろうか。まったくの当てずっぽうではあるが。
灯台に近づくためには波をかぶっている岩場を伝っていかなければならない。5分ほどか、しばらく寄せ来る波の様子を観察していてパターンを確認し、波が引いた頃合いをみて一気に灯台に駆け込んだ。
灯台は、白いタイル張りになっていて、初点銘板には安房埼灯台という灯台名が左から右に横書きされていた。ただ、初点日は不鮮明で読み取れなかった。
灯台からは左手前方に剱埼灯台が見え、太平洋上対岸には房総半島が横たわって見え、その先端は洲崎灯台であろう。大島も見えるようだが、この日は確認できなかった。なお、安房埼とは、房総半島安房国が望めるところから付けられた名前のようだだ。
(写真3 素晴らしいロケーションの安房埼灯台)
いずれにしてもここ安房埼灯台はロケーションが素晴らしい。灯台の建っている位置がユニークだし、眺望も第一級だ。知名度と歴史では城ヶ島灯台が先行するが、灯台の魅力では安房埼灯台が断然上回るのではないか。
公園には〝恋する灯台プロジェクト〟の認定記念モニュメントがあった。日本ロマンテイスト協会が認定しているものだが、なるほどロマンを感じさせる灯台である。
ところで、帰途、バス停そばの食堂で昼食をとったところ、ここの親爺が大事な話をしてくれた。今日は波は穏やかな方だったのかも知れないが、灯台に渡ろうとして波をかぶる人が少なくないのだそうで、昨日も波にさらわれた人がいて大騒ぎだったとのこと。年寄りが無謀な行動をとったことになり、大いに反省した次第だった。
なお、灯台周辺には、燈光会などが立てている灯台の概要を記した看板が見当たらなかった。あるいは見落としたのかも知れないが。
(写真4 安房埼灯台初点銘板)
<安房埼灯台メモ>(燈光会や海上保安庁設置の看板が見当たらなく、ウエブサイトの記事などから引用した)
所在地/神奈川県三浦市三崎町城ヶ島
位置/北緯35度07分07秒、東経139度37分38秒
塗色・構造/白色円塔形コンクリート造
灯質/単閃白光 毎4秒に1閃光
光度/2,000カンデラ
光達距離/約10海里(約19キロメートル)
塔高/11.5メートル
灯火標高/13メートル
初点灯/1962年(昭和37年)2月