ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

映画『キートンの探偵学入門』

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(写真1 映画館に掲示されていたポスター)

活弁士付き無声映画

 活弁士による無声映画の上映である。柏のキネマ旬報シアターで開催された。140席ほどの小規模のスクリーンだったが、それにしても満員の盛況ぶりだった。
 活弁士(活動弁士)が2名。舞台の左手前に控えている。男女1名ずつで、どちらもまだ若い。活弁士では生活が成り立たないと思われたが、本来は声優なそうで、その傍ら活弁士を演じているものらしい。
 その活弁士の進行で映画は進む。解説をし、セリフを演じる。現代で言えばナレーターと吹き替え声優を兼任しているようなものか。
 映画は『キートンの探偵学入門』で、バスター・キートンの監督・主演。1924年のアメリカ映画。上映時間は45分だった。キートンは、チャールズ・チャップリン、ハロルド・ロイドと並び世界の三大喜劇王と呼ばれる。
 物語は単純。キートン演じる若く貧しい男が、若く美しい女性にのぼせるが、ずるがしこい男がことごとく邪魔をする。
 喜劇だし、体を張ったような演技の場面もあるのだが、決してドタバタ喜劇といった印象ではなくて、それよりも、夢と現実が往来する場面があって、最先端であったろう技術と演出には感心した。
 映画では、ところどころで場面解説などの字幕(いわゆるテキスト・ショット)が挟まれるのだが、やはり活弁士が映画を俄然面白くしている。
 活弁士は日本独特のものだが、その弁舌を生で聞いていると、映画にぐいぐいと惹き込まれていく。もちろん映画自体が、サイレント時代のこと、わかりやすい演出を心掛けているようだし、俳優たちも身振りや表情も豊かで、これに活弁士の演技が加わって魅力的な映画となっていた。とにかく面白くてまったくあきさせないことに感心した。これはもう極上のエンターテイメントではないかと思ったのだった。