ABABA’s ノート

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「新釈漢文体系」全120巻完結

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(写真1 新釈漢文体系第7巻『老子・荘子(上)』)

明治書院が58年かけ偉業

 「新釈漢文大系」は、明治書院が出版している漢文の大系で、思想や歴史から文芸まで中国古典を網羅している。1960年(昭和35年)の第1巻『論語』から刊行が開始され、今年5月刊行の第109巻『白氏文集(十三)』をもって全120巻が完結した。58年の歳月をかけておりまさしく偉業と言える。
 全巻の構成は、論語、大学・中庸、小学、孟子、老子、荘子、韓非子、十八史略、易経、書経、礼紀、春秋左氏伝、史記、唐宋八家文、文選、白氏文集などとおよそ古代から宋代に至る中国古典が網羅されている。なお、全120巻のほか別巻『漢語解題事典』がある。
 内容構成は、題意に続いてまず原文と書き下し文が示され、通釈と語釈が述べられ、篇によっては余説が付されている。大変丁寧な編集で、これによって意味ばかりか漢文の魅力がわかるところとなっているし、余説では各篇にまつわる研究状況なども書き込まれていて大いに参考になる。また、巻末の索引も使い勝手のいいものとなっていて利用するに便利。
 私も本体系のうち数冊持っていて、このたびその中から1冊を書棚の奥から引っ張り出してみた。
 すぐ見つかったのは第7巻の『老子・荘子(上)』で、昭和41年の発行とある。当時、岩波文庫に老子がなかったからとても貴重な出版だったと記憶している。全巻に通用するものだが、体裁はA5判上製函入り。本巻の定価は1,300円となっている。なお、荘子は上下巻に分冊されており、第8巻が荘子の下。
 巻末を見ると、本体系は当初全23巻の予定だったらしい。その後、読者ニーズが強く、再三にわたって増刊を行ってきたもののようだ。
 結局、最終的には全120巻別巻1となり、執筆者は延べ133名に及んだという。また、この間のシリーズの累計発行部数は165万部という途方もないもの。地味な出版でこの数字は驚異的と言えるのではないか。途中で遅滞もあったのだろうが、ともかく全巻刊行を成し遂げた版元に対し敬意を表したいものだ。
 なお、同社では、「詩人編」全12巻を続刊する計画なそうで、2019年5月から刊行開始の予定とのこと。