ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

『没後50年 藤田嗣治展』

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(写真1 展覧会案内のチラシ。中央の絵は藤田嗣治「カフェ」)

過去最大級の回顧展

 上野公園の東京都美術館で開催されている『没後50年 藤田嗣治展』を見た。史上最大級の大回顧展と宣伝されているように、藤田の画業の全体像がわかるような内容だった。
 楽しみはやはり、藤田の代名詞ともなっている乳白色を基調とした作品群。これが一連の作品の初期のものだったという「私の部屋、目覚まし時計のある静物」(1921)は遠くから見てもそれとわかるいかにもというものだったし、数多く描かれた裸婦像については、比べること自体が意味のないことだろうが、私にはルノアールとはまた違った魅力が感じられた。
 また、若い女性がカフェで物思いにふけっている様子を描いた「カフェ」(1949)や、おかっぱ頭に丸ふちメガネ、ちょびひげといった典型的なスタイルを描いた「自画像」(1929)などと代表作が揃っていた。

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(写真2 藤田嗣治「自画像」(1929)=会場で販売されていた絵はがきから引用)

 しかし、こうした作品は折に触れて見ることの多いものだが、私にとって新鮮だったのは「フルール河岸、ノートルダム大聖堂」(1950)といった風景画は、ある種佐伯祐三を連想させて面白いものだった。
 とにかく、藝大の卒業制作である「自画像」(1910=実はこれが私にとって最も好きな藤田の作品)に始まって、「私は世界に日本人として生きたい」と願っていた藤田が追われるように日本を離れざるを得なかった「アッツ島玉砕」(1943)などの戦争記録画から晩年の「聖母子」(1959)などとあって見応えがあった。

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(写真3 藤田嗣治「フルール河岸、ノートルダム大聖堂」(1950)=会場で販売されていた絵はがきから引用)