ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

林智之メモリアルコンサートVol.2

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(写真1 ミュージックキャンプ受講生も加わった演奏直前の様子)

しずくいし夏の音楽祭東京公演2018

 すっかり定着したしずくいし夏の音楽祭東京公演。今年も7月19日代々木上原のムジカーザで行われた。昨年に引き続き、2016年に逝去された林智之メモリアルコンサートとしての開催となった。林智之氏はN響のヴァイオリン奏者として知られ、しずくいし夏の音楽祭の主宰者だった。
 「しずくいし夏の音楽祭」とは、岩手県雫石町で毎年8月に開催されている室内楽を中心とした音楽祭で、東京公演はその出演者たちによるもの。
 特に今年は、しずくいし夏の音楽祭ミュージックキャンプ受講生たちも出演して大変にぎやかなものだった。音楽祭には教育プログラムもあるようで、大学生を中心に中学生、高校生の将来の演奏家を目指す若手の卵たちが1週間程度のキャンプをしながら特訓に励んでいるようだ。
 今年はこの中からヴァイオリンのみ9人が出演し、メンデルスゾーン:弦楽のためのシンフォニア第10番ロ短調と、ラター:弦楽のための組曲の2曲を披露した。
 定例の演奏では、初めにシューベルト:弦楽四重奏曲第12番ハ短調D.703「四重奏断章」、続いてモーツアルト:ピアノ協奏曲第12番イ長調K.414(ピアノ五重奏版)の2曲。
 演奏は、ヴァイオリン冨沢由美、ヴァイオリン岡田紗弓、ヴィオラ臼木麻弥、チェロ西山健一、コントラバス西山真二にピアノは森知英。
 弦楽四重奏は、好事家ほど最も好むジャンルといわれ、各パートの自己主張に加え四重奏としての協調性も求められるようなものだろうが、このシューベルトの第12番はさざなみが繰り返し襲ってくるような印象だった。
 しかも、演奏は第1楽章だけでぷつんと終わってしまった。これには驚いた。愛好家なら先刻周知のことだろうが、この曲は未完成だったのだ。それで四重奏断章という名がついていたのだった。
 続いてモーツアルトのピアノ協奏曲第12番。格別の音楽ファンというわけではないから当然だが、私はこの曲は初めてだった。初め、甘ったるい旋律でいかにもモーツアルトらしいなと感じていたら、次ぎに曲が陰りだした。どうやらこちらが主旋律のようにも受け止められた。
 森知英さんの演奏は、甘さも辛さもきちんと表現されていてさすがに素晴らしいものだった。
 まったくの門外漢が勝手な感想を述べるとひんしゅくをかうが、感じたことを率直に書けるのも素人だからこそ。私はこれはこれでいいのだと思っている。ただ、毎日最低1時間程度はBOSEでCDを聴いているから、音楽好きではあるのだろう。