ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

久留里線沿いの車掌車

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(写真1 ワフ29500形緩急車ワフ29829)

シリーズ車掌車を訪ねて

 車掌車を訪ね歩いている。基本的に車掌車はもはや貨物輸送の事業用貨車として使用されることはなく、全国に現存する車掌車は120両ほどらしい。このうち動態保存されているものは20両弱といわれる。
  鉄道記念物としては蒸気機関車(SL)に次いで人気があるようで、全国の駅や公園などに展示されている。また、SLでは考えられないことだが、車掌車(緩急車も含めて)は、店舗や倉庫として利用されている場合も多く、このため民間所有となっていることも少なくない。
 さて、このたびは、房総の山中にあるという車掌車を探しに出かけた。
 一つ目は、木更津駅と上総亀山駅間を結ぶ久留里線の馬来田駅-下郡駅付近との情報。この両駅の間の線路際にあるということだったので、行ったり来たりしながら探してみたが見当たらない。行き会った地元の方数人に聞いてみたがいずれも心当たりはないとのこと。
 馬来田駅で茫然としていたら、列車から降りてきたおばさんが、それは馬来田駅-下郡駅間ではなく、下郡駅よりもう少し先の小櫃駅寄りではないかとのこと。
 早速その方面に向かって行ったところ、下郡駅を過ぎてすぐの久留里街道沿いにくだんの車両があった。下郡駅付近は木更津市と君津市の境で、君津市に入って間もなく、久留里街道の右側、並行している久留里線側にあったのだった。

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(写真2 ヨ6000形車掌車ヨ6828。妻面が改造されている)

 しかし、車掌車は相当にくたびれている。注意深く探さないと気がつかないほどだ。車掌車は2両が隣り合っていて、かつては卵の即売所だったらしいが、放置されて数年にはなるのか、草がボウボウとしており、塗料も剥がれており、車両情報を確認するのも困難なほどだ。
 調べてみたら、この車掌車についてレポートした記事がウエブサイトに2本出ていて、それらによると、1両がワフ29500形のワフ29829、もう1両はヨ6000形のヨ6828のようだ。これらの記事は、2003年から2010年に書かれたもののようだから、当時はまだ識別が可能だったのだろう。
 それにしても、こうした無残な姿になった車掌車を見るのは辛い。こうして車掌車が全国各地から消えていくのかと思うと残念でならない。こうした車掌車探訪には夢もないし。
 なお、こうした車掌車に関する情報は笹田昌宏著『車掌車』(イカロス出版)に詳しく、大変な労作であり、私にとってはバイブルみたいなもの。また、ウエブサイトとしては、「やまてつの部屋」や「新・姉崎機関区」を参考にさせていただいた。
 また、ここ君津市にはもう1両車掌車があるらしく、しかも久留里線にも近いらしいが、この日は帰途を急ぐ必要があってそちらは後日にした。

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(写真3 久留里線下郡駅)