ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

展覧会『理由なき反抗展』

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(写真1 アンディ・ウォーホル「理由なき反抗」
I LOVE ART 14

 神宮前のワタリウム美術館で開催されている。
 映画『理由なき反抗』は、主役のジェームズ・ディーンにばかり目がいきがちだったが、危うい青年の姿と一つの時代を描いていた。
 そして私は、アンディ・ウォーホルが描いたこの映画のポスターで、この映画がいつまでも印象深いものとなっていた。映画は好きだから、ポスターも随分とたくさん見てきたはずだが、ウォーホルのこのポスターほどいつまでも鮮明に記憶に残っているというものも少ない。
 会場にはこの絵がどんと展示されていた。ただ、この絵を実際に見るのは初めてだったのだが、驚いた、私の認識は間違っていたのだ。てっきり映画のポスターだとばっかり勘違いしていたのだ。
 映画『理由なき反抗』が制作されたのが1955年。そしてこの絵が制作されたのは1985年。ウォーホルは1970年代末に来日しているのだが、その折りに見た日本語のこの映画のポスターに触発されてこの絵を描いたもののようなのだ。この絵はシルクスクリーンで制作されたものだから、作品はたくさんあって眼に触れる機会も多かったものかも知れない。
 しかし、いきさつはどうであれ、この絵が映画『理由なき反抗』とともにあって私の記憶の中で生き続けてきたことに変わりはない。

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(写真2 会場の様子)

 展示されている作品群はこの美術館のオリジナルコレクションのようで、ウォーホルの作品にはほかにレーニン像や毛沢東像などと著名なものも含まれていて大変興味深かった。
 展覧会は、I LOVE ART 14のタイトルのもと、第1章レジスタンス、第2章デザイン革命、第3章理由なき反抗の構成で、15人の作家、約100点の作品が展示されていた。
 この中には、ギルバート&ジョージやキース・ヘリングなどとあってモダン・アートの世界に直接触れられる貴重な機会となっていた。
 会場を巡っていると、不条理なものへの対峙、不安な状況などといった言葉が頻繁に出てきて、学生時代を思い出すとともに、アートの歴史とは、自由への闘いの歴史であるとする主催の意図がわかるようだった。

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(写真3 キース・ヘリング「無題」<1983>)