ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

雨と霧の太東埼灯台

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(写真1 日中なのに明かりを灯している太東埼灯台の頂部)
外房の岬と灯台を訪ねて①太東埼灯台
 週間予報を見ていると日曜日は晴れとあった。前日の朝になっても予報は、土曜日からの雨は明け方にはあがるとあったから決行を決めていた。然るに、当日の朝になってみると雨は降り続いていてどうしたものかと躊躇もあったのだが、この雨も昼前にはやみそうなので出発した。
 外房の岬と灯台巡りである。房総半島の岬と灯台巡りは何度も行っていて、それも大半は鉄道とバスを乗り継ぐものだが、そうすると、内房の洲崎や野島埼などはともかく、外房側はいたく不便でこれまで機会が少なかった。そこで、このたびは自家用車で出かけた。
 岬巡りには自動車が断然便利である。行動範囲も広くなるし、そのことはわかっている。しかし、私は鉄道で行く岬への旅が好きなのであって、鉄道からバスあるいは徒歩とじっくりとアプローチを進めていくのは楽しい。それと、私は、道中、メモをとるのが欠かせない習慣で、自動車を運転しながらではこれはかなわないし、車窓風景も岬への旅では大きな楽しみ。
 そんなことだがこのたびは自動車。6月24日、まずは太東埼灯台へ。2度目の訪問。初めは鉄道で行ったのだった。鉄道を利用するなら外房線の太東駅が最寄り駅で、ここから灯台へは徒歩で4キロ約1時間の道のり。1時間くらいの徒歩は岬巡りを趣味にする者にとって何ほどのこともないのだが、この日はほかにも寄りたいところがあって自動車にしたのだった。
 圏央道を茂原長南ICで下りて、国道409号線から国道128号線通称房総横断道路で一宮経由太東へ。国道沿いに太東灯台入口の表示があって迷わず左折。
 進んでいくと、道が細くなり坂道へとなる。しかし、舗装道路だし、灯台への案内板がしっかり出ているし、民家も続いているから不安はまったくない。どうやら観光地として整備した様子だ。
 ほどなく現地到着。インターチェンジからは約1時間。国道を左折してからではわずか10分弱。駐車場もあるし、休憩所にトイレもあるし、開いてはいなかったが売店もある様子だ。

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(写真2 霧に覆われた太東埼灯台)
 しかし、何たることか、雨はますます強くなっているし、霧に覆われて灯台は霞んでいるし、海はまったく見えない。これはいかにも残念。あれほど気象情報を吟味していたのに。
 やはり休憩所で様子を見ていた60代のご夫婦は、「もう1時間ほど待っているが、雨はますます強くなっているんですよね」と浮かぬ様子。
 雨は午前中にはやむという予報もあったし、私もしばらく待っていた。あきらめたのかくだんの夫婦は帰っていった。私も2時間待っていたが、雨は強くなりこそすれ弱まる様子にはない。
 灯台は、10時を過ぎているのにまだ光を放っている。白光である。計ってみると10秒に1閃光のようである。
 灯台はいすみ市岬町所在。地図に指をあてて測ってみると、太東埼灯台はどうやら犬吠埼灯台と野島埼灯台のほぼ中間に位置するようだ。国道128号線でたどるなら茂原から南へ一宮、太東、大原、御宿、勝浦、安房鴨川という順路になる。
 霧が深くて少し先も見えないのだが、灯台は70メートルもの断崖にあって、真正面に太平洋が大きく広がっていたはずだ。
 灯台は中型灯台か、霧があがれば白堊円筒形の灯塔がさぞかし美しかろうと思われたが、いくら待っても変化はないので私もあきらめて帰った。
 付近では、百合であろうか霧にぬれていた。

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(写真3 太東埼灯台全景)
<太東埼灯台メモ>(燈光会が設置した看板から引用)
 位置/北緯25度18分32秒、東経140度24分44秒
 塗色及び構造/白色、塔形、コンクリート造

 灯質/単閃白光毎10秒に1閃光
 光度/18万カンデラ
 光達距離/21海里(約38キロメートル)
 高さ/地上~頂部15.9メートル、水面~灯火72メートル
 なお、この灯台は太東村がこの付近に設置した灯台を前身とし、昭和25年に国に移管されたのを機会に改築され、昭和27年に太東埼灯台としてデビューした、とあった。ただし、初点プレートには初点の昭和25年はその通りだが、昭和46年11月に改築とあった。もう一度改築されたのであろう。