ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

復旧工事急ピッチ山田線宮古-釜石間

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(写真1 駅ホームの形を見せ始めた山田線大槌駅)
被災地の鉄道
 岩手県沿岸部の鉄道には、北から三陸鉄道北リアス線、JR山田線宮古-釜石間、三陸鉄道南リアス線とあっていずれも甚大な被害のあったところだが、このうち南北のリアス線についてはいち早く復旧を果たしているが、遅れていた山田線についても復旧工事が急ピッチで進められていた。
 山田線の復旧の遅れについては、JR自身の問題ばかりではなく、沿線自治体の復興計画策定の遅れも足かせとなっていた。また、JRは大船渡線や気仙沼線同様にBRT(バス高速輸送システム)による復旧も提案していたが、沿線自治体はあくまでも鉄路による復旧を強く望んでいた。
 山田線宮古-釜石間は、路線延長55.4キロ、駅数は11(起終点除く)。大半で線路が流出する壊滅的打撃を受けており、宮古駅に近い閉伊川鉄橋が崩落したほか、陸中山田、織笠、大槌、鵜住居では駅舎も流出した。
 このたび沿線を並行している国道45号線で走ってみたところ、線路の敷設は全線でほぼ終わっている様子だった。また、その大半はかつての路盤が活かされているようだった。
 駅舎が流出した各駅の中では、鵜住居駅は1面2線のホームとなるようで、駅から徒歩5分ほどのところに建設中のラグビーワールドカップ2019大会の会場となるラグビー場とともに復興のシンボルとなっている様子だった。
 大槌駅は、1面2線のホームが工事中だった。駅前の整備も行われていて、地元の方に伺ったところ、新しい駅もかつての場所と同じところではないかとのことだった。

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(写真2 開通を待つばかりのような陸中山田駅)
 陸中山田駅の工事の進捗は早くて、すでに線路が敷かれ、2面3線のホームが出来あがり、跨線橋も完成して開通を待っているようだった。
 駅前にはコミュニティセンターや復興住宅などもオープンしていたし、駅前商店街も形成されつつあるようだった。駅前のバス、タクシー乗り場には、バスが運行されているほか、タクシーも客待ちをしていた。
 山田線の宮古-釜石間は来年2019年3月の復旧開通がすでに発表されており、完成後は三陸鉄道への移管が決まっている。これによって、久慈から盛まで岩手県沿岸部は北リアス線、山田線、南リアス線と鉄路で一直線に結ばれることになる。完成後は三陸鉄道では3線を新たに「リアス線」として一体運行することとなっている。
 北リアス線と山田線が接続する宮古駅では、構内に検収用の車庫を建築中で、すでに建屋は完成していた。これは三陸鉄道用のもので、宮古駅は、JRとしてはJR山田線の盛岡-宮古間の終点として引き続き運用されるが、三陸鉄道としてもさらに大きな拠点駅となる。
 現在の宮古駅で、北リアス線のホームはJR1番線の端に切り込むように設けられていて、行き止まりになっているが、北リアス線から山田線に直通するようになった場合にはホームはどのようになるのであろうか。おそらく現在のJR1番線ホームを活用するようになるのではないだろうか。
 岩手県沿岸市町村では鉄路の復活を震災からの復興の大動脈としてとらえており、新リアス線の開業が復興の弾みとなるよう期待される。

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(写真3 宮古駅構内に建築された検収用の車庫)