ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

ニューヨーク公共図書館

f:id:shashosha70:20180411122307j:plain

(写真1 ニューヨーク公共図書館の外観)
充実した運営
 五番街を歩いていたら、西40丁目と42丁目にまたがってボザール様式の重厚な建物があった。ボザール様式とは、列柱が特徴の建築様式で、グランドセントラルターミナルにも見られ、19世紀から20世紀初頭のアメリカで人気の建築。
 まるで美術館かと見紛う佇まいだが、人々が気軽に出入りしているし、私ものぞいてみたら、これが図書館だった。New York Public Library(ニューヨーク公共図書館)といい、いたく立派な建物だった。
 内部は3階建てになっていて、あくまでも図書館だから静かなのだが、見学者も多いようだし、私も一回りさせてもらった。
 内部も外観同様に重厚で、多数の閲覧室が設けられている。1階には雑誌閲覧室や地図の図書室があり、これは世界最大の地図のコレクションだとのこと。ニューヨークについてだけで1万点以上の地図を含んでいるという。また、アメリカ史の部屋には系図のコレクションもあった。
 圧巻は3階のメインリーディングルーム。アメリカ人の使う例えでいうと何とフットボールの競技場の広さを持つ閲覧室なのだった。
 当然ながらレファレンスがしっかりしているし、注目されるのはリサーチへのサービスの充実。一般の閲覧というほかに、研究目的に世界中から利用者が訪れているようで、年間の来館者数は350万人だということ。
 1911年の開館で、収蔵数が何と5千3百万冊。ニューヨーク市内88箇所に分館があるということだった。
 ところで、気になるのは公共図書館という言い方。Public Libraryをそのまま訳したわけだが、公立とは明らかに違う。日本では見かけることはないから公共図書館と公立図書館を混同しがちで戸惑うが、公共図書館とは一般に開かれた図書館という意味であり、これには公立も私立も含まれる。だから日本の図書館は大半が公共図書館ではあるが。
  New York Public Libraryもニューヨーク市立ではなくて、独立の法人であり、財政的には民間からの寄付でまかなっているということ。
  ボストンにも市街の中心コプリー広場に面して立派な図書館があるが、こちらはボストン市立の公共図書館ということになる。1848年創立のアメリカ最古の公立図書館である。
 また、フィラデルフィアにはFree Library of Philadelphiaというのがあったが、これも公立ではないが公共図書館だった。
 ボストンもフィラデルフィアもニューヨーク同様壮麗な建物で、アメリカが近代国家にとって図書館の役割をいかに重要視しているのかがわかるものだった。

f:id:shashosha70:20180411122410j:plain

(写真2 ニューヨーク公共図書館の閲覧室の一つ)