ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

ブルックリンから

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(写真1 ブルックリン・ブリッジ・パークから見たマンハッタンの景観。右側のひときわ高い尖塔を持つのが1WTCビル)
独特の叙情
 このたびのニューヨークでは、ニュージャージーに渡ったので、ブルックリンを訪れる予定にはそもそもなかった。ブルックリンが好きで、ニューヨークに来るたびにブルックリンに足を運んでいたのだったが。
 それが、大雪で帰国便が欠航となって二日間も足止めになってしまい、図らずも日程に余裕が生まれたのでブルックリンを訪ねることにした。
 それに、1年ほど前になるか、『ブルックリン』という映画を観ていて、ブルックリンへの興味が改めて湧いては来ていたのだったし、ニュージャージー側から見るマンハッタンとブルックリン側から見るのとでは何か違いがあるのか、そういうことにも興味があったのだった。
  映画『ブルックリン』では、ブルックリンにはアイルランドからの移民が多いように描かれていたし、同じようにアイルランドから渡ってきた若い女性が、アメリカの自由な風土に馴染み、恋をして成長していく姿が描かれていて印象深いものだった。
 そう言えば、この若い女性の相手役の若い配管工の男が、将来は独立しロングアイランドに家を持つのだと夢を語っていたが、そのロングアイランドは高級住宅地として知られ、このたびのニューヨーク旅行ではそのロングアイランドにも行くことが出来たのだった。
 ブルックリンは、マンハッタンとはイーストリバーを挟んだ対岸に位置するが、ブルックリン区は広大で、人口もニューヨーク市5区中最大だし、一括りには語れないようだ。
 マンハッタンとは、ブルックリン・ブリッジやマンハッタン橋、ウィリアムズバーグ橋そしてバッテリー・トンネルで結ばれ、地下鉄は実に18線が往来している。
 ブルックリンには独特のアイデンティティがあるように思われる。ただ、日本人の旅行者が容易にわかるようなものはなくて、特に私の場合にはブルックリンハイツといった高級住宅地を歩くことが多いのでなおさらだ。ただ、ブルックリン内をバスでぶらぶらしていると、例えば、バスに乗っていて降りたい停留所などを車内で尋ねると、四、五人から一斉に答えられることがあって、住民の人なつっこさがうかがえるのだった。
 さて、このたびブルックリンには、地下鉄Fラインに乗りヨークストリートで下車した。ブルックリンに向かう折にはいつも利用しているルートでありあまりまごつくようなこともない。

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(写真2 ブルックリン・ブリッジとマンハッタン)
 ブルックリン側からマンハッタンを望むには、ブルックリン・ブリッジのたもと、ブルックリン・ブリッジ・パークがいい。マンハッタンの南側、ロウアー・マンハッタンの摩天楼が海に浮かんでいるように望むことができる。けだし絶景である。川幅のせいなのだが、ハドソン川を挟んだ対岸ニュージャージー側に比べると、マンハッタンがぐっと近い。
 ひときわ高いビルが、9.11跡地に建つ1(ワン)WTCビルである。かつては、ここにツインタワーのビルが見えたものだった。
 ブルックリン・ブリッジは、マンハッタンとブルックリンを結ぶ最南端の橋である。1883年の開通で、アメリカで最も古い吊り橋の一つだといわれている。鋼鉄製の橋であり、ニューヨークを象徴する景観の一つでもある。
 橋は2層になっており、上層は自転車を含めた歩行者道となっており、歩いて渡ることができる。全長1,825メートルだが、小1時間程度かかるらしい。いつか渡ってやろうと思っているのだが、今回も実現しなかった。
 そういうことで、帰途はフェリーにした。橋のたもとから各方面に行くフェリーがでており、私は最も近いウォールストリート行きに乗った。ハドソン川を渡ったときと同じNYウォーターウエイの運行だった。所要わずか数分。ハドソン川が住民の足となっていたのに対し、こちらイーストリバーのフェリーはもっぱら観光客が乗客だった。

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(写真3 ブルックリンからマンハッタンに向かうフェリーの船上から振り返ってみたブルックリンの姿)