ABABA’s ノート

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「こんぴらさん」にお参り

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(写真1 本宮までは785段の急な階段をひたすら登らなければならない)
讃岐の金刀比羅宮
 先日の四国旅行では、こんぴらさんと呼ばれ親しまれている金刀比羅宮(ことひらぐう)にお参りした。高松市あるいは香川県にはたびたび訪れているのだが、こんぴらさんにお参りしたのは初めてだった。
 なぜ初めてか。苦手の階段が数百段もあるらしいこと。それも登りよりも、下りが太ももを痛めることがあって要注意なのである。また、往復に2時間ほども要するようで、余裕のある時間が必要だということ。そのほか何やかやとあってこれまで挑戦する機会を積極的にはつくらなかった。
 しかし、これから先、讃岐を訪れるチャンスはそうないであろうし、このたびの四国行では当初からこんぴらさんへの参詣を旅程の中心に入れていた。
 金刀比羅宮は、こんぴらさんと呼ばれて親しまれているが、江戸時代から庶民に人気の寺社で、生涯に一度は参拝をしてみたいということでは、性格は違うがある種伊勢神宮と双璧だったようだ。
 こんぴらさんへの最寄り駅は、JR土讃線の琴平駅とことでん(高松琴平鉄道)の琴電琴平駅。琴平駅は風格のある駅舎。登り口までは琴電琴平駅の前を通って約10数分。琴電からなら10分とかからない。琴電琴平駅もどっしりとした駅舎である。私は、往きはJR駅で降りて、帰途はことでん駅から乗ったが、どちらも人気の寺社の玄関口らしい立派な佇まいだった。
 いずれにしても、いかにも門前町といった賑やかな参道を通って登り口へ。途中の土産物屋で、お参りして帰ってくるまでの所要時間を尋ねたら、2時間もあれば十分だよとのこと。しかし、別の店で聞いたら、片道30分くらいという。
 まあ、時間は気にせず登りだした。しかし、1段目に足をかけて上を見ると、急な階段がまるでそそり立つように伸びている。やる気が萎えてくるようだったが、急がず、かといってだらだらともせず、一歩一歩、一段一段をイーブンペースで登っていった。
 何しろ、山上にある本宮まで階段が実に785段もある。標高にすると251メートルの山の上である。やはり心してかからなければならない。
 途中、大門という立派な門があって、ここまででかなり登ったつもりだったが、まだ半分ほどだとのこと。なるほど365段とある。しかもここからが境内だとのこと。決意も新たに登り続けた。
 そうするとリズムも出てきたようで、かえって足取りもしっかりしてきた。まあ、どうやら毎朝1時間のウォーキングの効果が出ているようだった。
 そうこうして立派な社が見えてきた。やれやれと思ったらこれがとんでもない勘違いで、ここは旭社といい、かつての金堂だということである。重要文化財に指定されているほどに細やかな彫刻が施されている。何でも、森の石松が参詣に来て、ここを本宮と取り違え、ここでお参りを済ませ帰ってしまったという逸話があるらしい。さもありなんというほどのお堂ではある。
 しかし、ここまで来ればもう628段、残りは少ない。そう思ったら、とんでもない、終わりがもっともきつかった。

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(写真2 金刀比羅宮の本宮)
 それでも、喘ぎながらたどり着くとついに本宮。貫禄のある佇まいである。登り切ったという達成感もある。ここまで時計を見ると、登り口から約30分である。意外にたやすかった。
 眼下には讃岐平野が一望にできた。境内をうろうろして下山にかかったが、階段は下る方が辛い。調子に乗ってドシンドシンと下っていくと太ももを痛める。このことは経験上知っていて慎重に下ったが、それでもやはり30分で、結局、往復1時間ちょっとというところだった。
 なお、本宮からさらに先には奥社があって、そこまでは1368段もあるという。つまり、本宮までの倍もあるわけで、私はさすがに引き返した。もっとも、奥社まで足を伸ばす人は滅多にいないそうである。

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(写真3 帰途、階段を降りながら眼下に見た讃岐平野)