ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

渥美半島と豊鉄渥美線

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(写真1 豊橋鉄道渥美線新豊橋駅の様子。右はJRの線路
恒例年末ぶらり旅
 年末恒例のぶらり旅。かつてはある種寅さんにでもなったような気分があって大晦日を好んできたが、しかし、もはや毎日が日曜日の身分、家族のひんしゅくをかってまでも強行することもないし、ちょっと早めに出かけてきた。
 それも、例年ならば雪が見たくて北国に向かうことが多いのだが、今年は趣向を変えて三河湾と浜名湖を周遊した。
 初めに渥美半島へ。渥美半島は、遠州灘に面し東西に鋭く突き出ており、南北に伸びる知多半島とは蟹の爪のように対置し合って三河湾を囲んでいる。
 愛知県の東端豊橋。豊橋鉄道(通称豊鉄)には豊橋市内を走る市内電車(路面電車)と渥美半島を貫く渥美線とがある。JR豊橋駅の東口に市内電車のその名も駅前電停があり、隣接して渥美線の新豊橋駅がある。
 なお、細かいことだが、市内電車(正式には東田本線という)は国道1号線を走る唯一の路面電車だし、途中の井原電停付近の分岐点は半径11メートルという鉄道路線としては日本一急なカーブがある。実際乗ってみると、四つ角ではまるで直角に曲がるような趣だった。
 さて、12月26日新豊橋駅。渥美線の起点である。渥美線は渥美半島の中程まで背骨のように伸びている路線。1面2線のホーム。3両の電車。11時30分の発車。平日日中の下りだから空いている。単線だが、結構速度を上げているし、ドアの開閉もすばやくてスピード感がある。
 宅地が続き郊外電車という様子。途中に高師(たかし)。豊鉄の車庫があり、高師緑地という広大な公園があった。老津付近では、右前方に巨大な門型クレーンが3基並んでいるのが遠望できた。クレーンの大きさから見て新来島豊橋造船(旧 金指造船)であろうか。自動車運搬船の建造では世界トップクラスの実績が知られる。

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(写真2 渥美線の終点三河田原駅の外観)
 そうこうして三河田原12時29分着。全線18.0キロである。駅舎は真新しく、地元田原市のコミュニティセンターを兼ねているようだった。駅前も整備されていたが、賑やかさは感じられなかった。
 ここからバスで渥美半島の突端を目指す計画だが、半島は全長が約50キロ、幅は5~8キロほど。渥美線は半島のなかばまでしか達していなくて、その先は伊良湖岬までバスとなる。戦時中には突端まで延伸する計画もあったようだが、戦火により中止となったままとなってきた。
 渥美半島はなかなか豊かな半島で、付け根の豊橋付近には自動車工業が立地しているし農業も盛ん。バスの沿道では、農業用ハウスが延々と広がり、まるで農地の過半に達するのではないかと思われたほどだった。

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(写真3 井原電停付近の豊鉄市内電車。鉄道路線として日本一急なカーブである)