ABABA’s ノート

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講演「鉄学事始」

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(写真1 講演会の模様)
鉄の新時代へ
 国民工業振興会主催による「鉄学事始=最近の鉄鋼と将来」と題する講演会が先日都内のホテルで行われた。
 講演したのは日本鉄鋼協会専務理事脇本眞也氏で、元経済産業省関東経済産業局長という経歴を踏まえ、鉄の歴史を概観し、世界の鉄鋼業を縦覧したあと、日本の鉄鋼業界は製品の高付加価値化を図る一方、ハイブリッド高炉の開発を進めるなど鉄の新時代へ突入していると述べていて大変印象深いものだった。
 講演の中で脇本氏は、鉄鋼の優位性として、①強度と性質をつくり分けることができること、②変形ができること、③溶接ができることの3点があるとし、溶接については神戸製鋼は世界一の位置にあると述べていた。
 また、日本鉄鋼業について、昭和16年の粗鋼生産量は764万トンで、この年アメリカは6千万トンだった。昭和48年には史上最高となる1億2千万トンとなり、アメリカは1億トンだった。現在は日本の1億トンに対しアメリカ8千万トンで落ち着いている。鉄鋼業の総出荷額は18兆円に達し、輸出額の業種別順位では1990年に第4位だったが、2015年でも第4位となっており、引き続き高い位置を占めているなどと日本の鉄鋼業の産業としての位置づけを整理していた。
 現在の日本鉄鋼業は、ハイエンド鋼の開発など高付加価値化を目指しているとし、引き続き高い国際競争力を持っているし、鉄鋼はすでに成熟した産業だなどと指摘する向きもあるが、鉄鋼に関する論文の投稿数は増加していると述べていた。
 一方、環境問題は鉄鋼業にとって宿命的な課題だが、炭素で還元する現在の製鉄方法から、水素で還元する方法を開発し、すでに実験高炉も築いているのが現実で、将来的には炭素と水素二つの還元方法を兼ね備えたハイブリッド高炉の実現を目指しており、鉄の新時代へ向けて大いに発信していると展望していて、興味深いエピソードを紹介していた。