ABABA’s ノート

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京都五重塔巡り①醍醐寺

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(写真1 歴史を感じさせる佇まいの国宝醍醐寺五重塔全景)
京都最古の五重塔
 このたびの京都旅行では、京都にある四つの五重塔のすべてを巡った。これらの五重塔はこれまでにも一再ならず訪れたところが多いのだが、滞在中に四箇所すべてを回ったのは初めてのことだった。
 五重塔は、もとより仏塔こと。五重の屋根を持つからその名があるわけだが、仏舎利のストゥーバに起源があるらしい。寺院にとって中核となる重要な宗教施設で、かつては多くのお寺に五重塔はあって、京都だけでも100にも上ったらしいが、その大半は火災によって焼失したとのこと。現在でも全国には60もの五重塔があるということである。
 初めに訪ねたのは醍醐寺。伏見区所在。秀吉が〝醍醐の花見〟を主催した場所として知られるが、京都の南東に位置する。往きはあらかじめ時間がわかっていたので、京都駅八条口から京阪バスで醍醐寺行きに乗った。約30分。だいぶ山深くなって到着した。
 醍醐寺は、真言宗醍醐派の総本山であり、空海の孫弟子にあたる理源大師聖宝が874年に開基したとされる。本尊は薬師如来。世界文化遺産に登録されており、広大な寺域を擁する堂々たる大寺院だった。

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(写真2 堂々たる仁王門)
 総門を入ると、左手に醍醐寺の塔頭三宝院がある。門跡寺院で、門の一つに唐門(国宝)というのがあった。黒漆塗りで、扉に桐紋、その脇に菊紋が金箔で配されていて、豪華豪壮。
 石畳を進むと西大門。堂々たる仁王門で、仁王像は1134年の造立で重要文化財に指定されているが、やや風化が激しいように感じられた。
 門をくぐって砂利道を進むと伽藍が展開していて、まず、左手に金堂(国宝)。平安後期の建立とされ、実にどっしりとして立派な本堂だった。本尊は薬師如来座像で、両脇侍の日光・月光菩薩立像とともにやさしく鎮座していた。三尊ともに重文だが、直接拝顔することができ、係員が詰めているわけでもないしその開けっぴろげさに驚いた。
 金堂を過ぎるといよいよ五重塔(国宝)が右手に見えてきた。951年に建立された京都府下最古の五重塔であり木造建築物である。
  広い境内の木立の中に佇んでおり、時代を感じさせるゆかしさも荘厳である。すらりとした印象にはやや弱いがどっしりとした安定感がある。五重の屋根の大きさは下から順にきれいに逓減しているようだ。塔高は37.4メートルとある。高いところにあるから定かではないが屋根に乗っている相輪も大きいように思われた。
 ある紹介によれば、醍醐寺五重塔は法隆寺五重塔(国宝)、瑠璃光寺五重塔(国宝)とともに日本三大名塔の一つだということである。実際、なるほどとうなずかせる貫禄が感じられた。
  なお、境内には霊宝館という宝物殿があり、ここには薬師堂にあった薬師三尊像(国宝、金堂の薬師如来座像とは別物)が安置されていて、幸い特別公開の期間だったから直接拝むことができた。また、ここには国宝69,419点、重文6,522点が収蔵されているというからすごいものだ。
  帰途はバス便が良くなく、地下鉄東西線醍醐寺駅まで歩いた。美しい住宅街を抜けるようになっており、幸い下り坂だった。徒歩10数分ほど。

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(写真3 国宝金堂正面)