ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

妹島和世 SANAA×北斎

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(写真1 展覧会の様子)
すみだ北斎美術館の企画展
 ちょっと変わった展覧会だった。
 すみだ北斎美術館は墨田区亀沢にあり、ここは葛飾北斎生誕の地でもある。美術館は昨年開館しており、設計が妹島和世だった。SANAAは、妹島が西沢立衛と組んでいる建築設計ユニット。
 ということで、この展覧会はすみだ北斎美術館の開館1周年を記念して企画されたもので、妹島及びSANAAの作品と北斎の作品を並行して展示、両者に連続性を見いだそうというもの。
 妹島、SANAAあるいは西沢は世界的にも著名な設計者で、また、数多くの美術館を手がけていることでも知られる。金沢21世紀美術館や十和田現代美術館などがあり、街に開かれた美術館というのが共通のコンセプトになっている。
 このすみだ北斎美術館もその延長線上にあるようで、現地を訪れると、アルミの外壁が独特の景観を生み出していて、実にユニークな外観が目を引く。

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(写真2 基本設計時のスタディ模型)
 展覧会の会場に入ると、北斎の有名な作品群と並行しながら、すみだ北斎美術館に至るスタディ模型などが展示されていて、妹島自身の解説に加えて、展覧会企画者の解説もあって展覧会のコンセプトが次第に明らかになっていく仕組みとなっていた。
 基本設計時のスタディ模型では、主に敷地に対するスケールやボリューム感、見え方などを検討した模型が展示されていて、設計者の設計の進め方の一端がうかがえるようだった。
 展覧会企画者の解説によると、北斎とSANAAとの間には透明性や多視点、異界と行った共通点が見られるとのことで、「建築は既存の風景に沿いながら、それを緩やかにより魅力的なものに変容させていきます。いつのまにかそれはもとの風景とは違う「もう一つの風景」を生み出しているのです」と解説していた。
 美術館が建築の設計者の紹介をすること自体は珍しくはないが、主要展示品、しかもこの場合北斎と並べて展覧会を行うというのはおそらくこれまで例のなかったことで、極めて興味深いものだった。

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(すみだ北斎美術館の外観)