ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

池田学展

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(写真1 「誕生」を前に会場の様子)
超緻密なThe Pen
 超緻密な画風で知られる池田学の展覧会。The Pen-凝縮の宇宙との副題が付いているが、まさしく壮大なスケールで描かれた圧倒的宇宙観だ。
 「けもの隠れ」「ブッダ」「領域」「興亡史」「予兆」などと順に見ていったが、絵は重層的で幾層にも重なり合っているし遠近で印象が異なるから子細に見る必要があった。拡大鏡を持参している人がいたがこれは正解だったろう。また、一眼鏡で見ている人もいたが、会場は混み合っていて容易には作品に近づけなかったからこれも用意周到賢い鑑賞だった。
 注目したのはやはり「誕生」。3☓4メートルの大作で、2013年から3年の歳月をかけて、アメリカのチェゼン美術館に滞在しながら描いたものだとのこと。
  明らかに東日本大震災の影響を受けて描かれたもののようで、震災のあらゆる事象が描き込まれている。子細に見ると気持ちの悪くなるようなモチーフも描かれているが、鳥が飛び交い花が咲き乱れて希望を予兆させる内容と受け止められた。
 池田の画法は、紙にペンで描くやり方。インクが大半で時に透明水彩があるようだ。何でも1日で描けるのはわずか10センチ四方程度らしい。手法といい作品といいいかにも独創的な絵画だった。日本橋高島屋で。

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(写真2 「誕生」=部分)