ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

本州最北端下北半島大間崎

f:id:shashosha70:20170912091342j:plain

(写真1 大間崎の沖合600メートルの小島弁天島に建つ大間埼灯台)
本州-北海道最短距離
 田名部にあるむつバスターミナルから下北交通バスで下北半島を北上していくと約1時間30分で目指す大間崎に到着した。9月3日。
 バスを降りると、土産物屋などが並びなかなかにぎやかな観光地となっていた。観光客も多くてとても最果ての地とは思われない。
 地図で見ると、岬は鋭く津軽海峡に突き出ているようだが、実際に訪れてみると、国道が波打ち際を岬に沿ってぐるり回り込んでいて、突端という印象は薄い。ましてや断崖絶壁でもないから岬としての情緒がいささか弱い。さらにこの岬には灯台がないからその印象をさらに強くしている。
 しかし、眼前に広がる津軽海峡は絶景である。右に恵山が見える。亀田半島の東端である。鉄兜を伏せたような形をしているからわかりやすい。大好きな恵山岬がこれほどくっきりと見えることはうれしいこと。
 左に目を移していけば、正面が汐首岬のはず。この岬は岬のそばを回り込んでいる国道を走っていても気がつかないほどのところで、対岸からはとうていきちんとは目視できなかった。
 しかし、ここ下北半島大間崎と亀田半島汐首岬との間が、本州と北海道を結ぶ最短距離の場所。その距離18.7キロで、海峡トンネルが走る津軽半島龍飛崎-松前半島白神岬間の19.5キロよりもわずかだが短い。
 さらにその左が函館山で、これも特徴ある山容だから紛れもない。

f:id:shashosha70:20170912091432j:plain

(写真2 きれいに整備された大間崎。マグロ漁のモニュメントがあり、沖合には灯台が見える)
 岬には、「ここ 本州最北端の地」と刻まれた背の高い大きな石碑が建っている。また、その隣には「まぐろ一本釣りの町 おおま」と題する大きなマグロと釣り上げる力強い太い腕のモニュメントがあった。
 灯台は陸地にはなくて、目の前の海上約600メートルほど沖合の弁天島にある。大間埼灯台である。上陸してみたいと思ったが、船を仕立てれば出来るのだろうが、定期便のようなものはなくてあきらめた。岬との間は潮流の速い水道として知られる。
 弁天島は小島で、灯台があるだけの島のようだった。塔形は円筒形で、白地に黒の横縞が入った塗色となっている。離れたところから見ているのでわかりにくかったが、灯高は25.4メートルもあるのだそうで、灯火標高も36メートルということである。ひょろっと見えたのはそういうことなのだろう。
 面白かったのは明弧が全度となっていたことで、小島上の灯台だけに、灯火がぐるっと回るということなのだろう。第4等フレネル式レンズで、灯質が群閃白光毎30秒に3閃光、実効光度12万カンデラ、光達距離17海里(約31キロ)となっている。ということは、対岸からも視認できるのだろうか。初点は1921年11月1日。座標は北緯41度33分07秒、東経140度54分54秒である。
 後背地に目をやると、なだらかな丘になっていて、なるほど灯台を陸地に造らなかったことは、そういうことで適地が見当たらなかったのだろうと思われた。
 この岬を訪れるのは数十年ぶり二度目だが、あの頃はしもた屋風の土産物屋が1軒あるだけのさびしいところで、大間行きのバスの乗客も一人だけ、当然降り立ったのも自分だけだった。
 それが再訪してみると、まるで祭りの縁日のようなにぎやかさで少々面食らったのだった。マグロ人気が大きいらしい。

 同じ下北半島でも、尻屋埼とはまったく違った情緒である。

f:id:shashosha70:20170912091527j:plain

(写真3 大間崎に建つ「ここ 本州最北端の地」と刻まれた背の高い大きな石碑)