ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

東急世田谷線漫歩

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(写真1 電車が到着し乗降中の三軒茶屋駅。左が乗車側ホーム)
東京都内の路面電車
 世界的にもライトレールとして復権著しい路面電車だが、東京世田谷線は都電荒川線とともに都内にある路面電車の一つ。東京に路面電車のあること自体がびっくりされるかもしれないが、全線がれっきとした軌道線である。東急田園都市線と接続する三軒茶屋駅と京王線と接続する下高井戸駅間を結んでいる。全線5.0キロ、駅数は10。通しで乗れば17分程度という小さな路線である。
 8月20日、田園都市線を三軒茶屋で降りてあまりの変貌ぶりにびっくりした。学生時代友人がここに住んでいて時々訪れていたのだが、50数年前の面影はほとんど見当たらなかった。ただ、駅からすぐの路地すすらん通だけは生き残っていて、かつてはジャズバーもあったような飲食街の顔ぶれも入れ替わっていたものの、洋食屋が元気だったのはうれしかった。
 三軒茶屋は地上駅。しかも、一つの段差もなくそのまま電車に乗り込めるのはいかにも路面電車らしくていい。行き止まりの終着駅だから、電車を懐に抱え込むように2面1線のホームが取り囲んである。降車側と乗車側とホームが別れていて、乗降はスムーズ。電車は300系の2扉車2両編成。ワンマン運転。最前部と最後尾が乗車用で、中の二つは降車用である。運賃は全区間均一で150円。一日乗車券は330円。
 発車するとすぐに西太子堂駅。わずか1分。駅間距離は300メートルほど。この先も駅間距離は短くて1キロを超す区間が一つもない。

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(写真2 信号が変わって踏切に侵入してきた世田谷線電車)
 続いて若林駅。駅に到着する直前に踏切があったが、これが環七を横切る若林踏切。途中下車してみていたが、面白いことにはこの踏切には遮断機がない。電車が踏切に近づくと一旦停止し一般の道路交通の信号が変わるのを待っている。つまり、電車が信号待ちをしているわけである。しかも、自動車側にも踏切の一旦停止義務はないのである。こういう踏切を第4種踏切というようだが、いずれにしても、都内でも交通量の多い環七のこと、渋滞を回避する上でこういう踏切となったものであろう。
  次が松陰神社前。駅から徒歩3分ほどのところに神社があった。もとより吉田松陰を祀ったところで、回向院から改葬された墓所もあった。また、境内にはブロンズの座像があったが、実に端然としたもので感心した。人気があるのか訪れている人も多く大きな神社だった。
 世田谷駅を経て上町駅。路線の中間あたりで、車庫が併設されており、2編成が留置されていた。
 続いて宮の坂駅。ホーム脇に古い車両が留置されていた、旧玉電デハ80系なそうで、その後江ノ電の601号として活躍したとのこと。車内では子どもたちが遊んでいた。
 また、この駅は豪徳寺への最寄り駅。徒歩5分。なかなか寺域も広く立派なお寺で、井伊家の墓所となっているようだった。三重塔があった。
 次の山下駅は高架の小田急豪徳寺駅とクロスしている。続いて松原駅を経て終点下高井戸駅。京王線との接続駅で、ホームは仕切りを隔てて並んでおり、京王電車が轟音を鳴らして走り抜けていった。

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(写真3 宮の坂駅に留置されている旧玉電デハ80形の車内で遊ぶ子どもたち)