ABABA’s ノート

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特別展「漢字三千年」

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(写真1 文字が刻まれた兵馬俑(部分)。左胸に不の文字)
漢字の歴史と美
 昨年10月から全国各地を巡回してきていてやっと最終開催地群馬県の高崎シティギャラリーで開催中のところをつかまえられた。
 中国の17の博物館・研究機関の協力によって国家一級文物(国宝級)21点を含む約110点が展示されていて、充実した素晴らしい内容だった。主催は各地の日本側主催者のほか各地共通で中国人民対外友好協会、中国文物交流中心、日本中国文化交流協会。
 展示は、漢字の生い立ちから書に至るまで広範に及んでいて、漢字に関わる展覧会としてこれほどの規模で開催されたのは日本では初めてのことと思われた。
 最古の漢字は3200年前にさかのぼる甲骨文字だが、この殷墟の甲骨文字である「卜辞の刻まれた牛骨」(商、安陽博物館蔵)が展示されていた。教科書で習ったものだが、実物を目にしたのは初めて。もとより国家一級文物である。
 兵馬俑の実物が展示されていた。世界初公開とあって、どういうことかと説明を読んでみたところ、この兵馬俑にも文字が刻まれているとのこと。出品されていた「鎧甲武士陶俑」(秦、秦始皇帝陵博物院蔵、国家一級文物)には左胸のあたりに不の文字が刻まれていて、この文字はこの俑を製作した工匠の名であるとのこと。
 面白かったのは漆塗りの酒杯で、表に「君幸酒」の三文字が黒の漆で書かれ、裏面には「一升」の二文字が朱で書かれてあった。(前漢、湖南省博物館蔵)

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(写真2 鄧石如の隷書「世慮全消」。独特の力強さ)
 書では、西太后や林則徐、李鴻章といった歴史上の人物たちの軸などがあって興味深かったが、感心したのは陸士仁が書いた「四体千字文」(明、故宮博物院蔵)。いわゆる篆書、隷書、草書、楷書の四書体で『千字文』を書いたものだが、その膨大な書跡に驚いた。
 書といえば、鄧石如の屏風「世慮全消」(清、安徽博物院蔵、国家一級文物)が面白かった。清代中期の書家なそうで、この屏風は四体で書かれており、展示されていたのは隷書によるものだが、力強い筆法に感心した。

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(写真3 写真撮影も自由という会場の様子)