ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

山形鉄道フラワー長井線

f:id:shashosha70:20170723113011j:plain

(写真1 日本最古の鉄橋フラワー長井線最上川橋梁)
花とサクランボの路線
 秋田内陸縦貫鉄道と由利高原鉄道という秋田県の二つの第三セクター鉄道に乗った後は、いったん秋田に戻り宿を取った。
 翌日出直して秋田から奥羽山脈の西麓沿いに奥羽本線をひたすら南下して山形県の赤湯駅を目指した。秋田駅を8時09分に出て12時47分に着いたから、乗り継ぎの待ち時間も含めると実に4時間38分も要したことになる。なお、遠回りにはなるが、秋田新幹線、東北新幹線、山形新幹線と三つの新幹線を乗り継ぐと、秋田8時10発、赤湯12時21分着となりわずかだが時間短縮とはなる。
 山形鉄道は、旧長井線を継承した第三セクター鉄道で、奥羽本線の赤湯駅と行き止まりの終着駅である荒砥駅を結ぶフラワー長井線を運営している。全線30.5キロ。駅数17で、全線単線非電化。

f:id:shashosha70:20170723112333j:plain

(写真2 赤湯駅で買った名産のサクランボ)
  6月30日。赤湯駅。山形新幹線の停車駅であり、長井線の起点でもある。駅の待合室ではサクランボの販売が行われていて大変な人気。本場だしちょうど季節でもあるから私も土産に小さなパッケージを一箱だけ購入した。しかし、それでも値が張る。ただ、帰宅してから食べたが、とてもうまかった。
 長井線のホームは4番線。1両のディーゼルがすでに入線している。どうせ空いているだろうと高をくくっていたらとんでもない、満席である。団体客が乗っていたのである。大半が中高年の女性で、全国どこへ行っても見かける風景だが、困るのは傍若無人であること。
  そのことはともかく、13時29分の発車。ワンマン運転だが、団体客へのサービスであろうか、ガイドが乗務している。
 その案内によれば、沿線はサクランボとワインが産品なそうで、実際、サクランボの木が車窓に続いている。ちょうど実が付いた季節のようで、黄色い色をしていた。熟して食べ頃になると赤くなるということだろう。
 発車してすぐに最上川を渡った。長井は最上川の舟運で開けた町だし、この先も長井線は最上川とつかず離れず走って行く。細長い盆地を北上していて左窓には朝日岳が見えるはずだが、この日は曇っていて見えなかった。
 今泉13時50分着。米坂線との接続駅である。米沢を経由しないで短絡しており、連絡がよければ坂町へ時間短縮となるはず。
 ここから一駅分がJRと長井線の共用区間で、長井線がJRの線路を借りているかたち。こういうかたちは全国に珍しくないが、分岐する直前に小屋があったが、これはかつて手作業でポイントの切り替えを行っていた名残らしい。
 沿線の各駅は花の手入れがよくて、時庭駅など枕木で造ったプランターに花がいっぱいに咲いていた。フラワー長井線という路線名にちなんで、各駅には得意とする花があるそうで、長井駅はアヤメということだった。その長井の次がその名もあやめ公園駅で、ここで団体客がごっそり降りた。やれやれと思っていたら、新しいグループがどっと乗り込んできて喧噪ぶりは変わらなかった。長井は、沿線の中心である。
 米坂線もそうだが、この長井線も豪雪地帯のようで、沿線の家々には外壁にはしごが取り付けてあるものがある。雪下ろしのために常設しているのだろう。
 羽前成田の駅は風格があった。何でも大正11年(1922年)の建築で、開業当初からの駅舎であり、登録有形文化財に指定されているということだった。
 また、終点の手前で最上川を渡ったが、この鉄橋は日本最古のものとのこと。ただし、イギリスで製作され、当初は東海道線の木曽川橋梁として使われていたものが移築されたらしい。土木遺産に指定されている。
 そうこうして荒砥14時26分到着。行き止まりの終着駅である。駅舎は立派な建物で、交流施設になっていたし、駅前のベンチではお年寄りがおしゃべりしながらくつろいでいた。鉄道の駅が町の中心になるのはとてもいいこと。

f:id:shashosha70:20170723112412j:plain

(写真3 山形鉄道フラワー長井線終着駅荒砥)