ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

納沙布岬霧にむせぶ

f:id:shashosha70:20170709151947j:plain

(写真1 霧にむせぶような納沙布岬灯台)
日本最東端の岬
 岬好きにとって難敵は、雨でも風でもなく雪でもない。それは霧で、それも薄くかかる分には幻想的でさえあって風情があるのだが、深い霧になってしまうとすべてを閉ざしてしまってはなはだ困る。何日間か滞在しているようならば、それでも様々な表情を見つけられて楽しめるのだろうが、駆け足でめぐるような旅では濃い霧は呆然として行く手を狭まれる。
 羅臼からはレンタカーで道東の岬めぐりを行ったのだが、行く先々で深い霧に悩まされた。
 244号線を根室に向けて走っていて、初めに標津から横にそれて根付半島を根付崎まで進む計画。ところが霧が深くて何も見えない。早朝なのにライトを点けて走っているのだが、対向車が突然に現れるという具合。
 この半島は、半島自体が2車線分の幅くらいしかなく細長い。海の中道といった様子で、左が根室海峡、右は尾岱沼(おたいとう)である。こうした道が延々と続き、茫漠とした風景が広がるだけなのだが、ほかでは見られない独特の情景がある。
 しかし、ここはあきらめてまっすぐに南下した。途中、別海を通った。根釧台地だが、一直線に引かれた道がどこまでも伸びる。両側は酪農地帯で、大きな北海道の広さが実感できるスケールがある。
 厚床で44号線とクロスし、納沙布岬を目指す。根室市街を抜けて根室半島を先へ先へと進むのだが、20キロはあるか、この道が結構長い。15分ほど走るだろうか。

f:id:shashosha70:20170709152227j:plain

(写真2 灯台は円筒を3段に重ねたコンクリート造だった)
 この半島の突端が納沙布岬で、納沙布岬灯台が建っている。しかし、霧がかかっていてうっすらとしか見えない。白い灯台だからなおさらだ。円筒を3段に重ねたような構造だ。ずんぐりしており、灯高も10メートルだ。また、灯火標高も30メートルとあるように、断崖絶壁の上に建つという風情ではない。
 だからだろうか、日本最東端の岬なのに情感を弱くしている。ここを訪れるのは4度目だが、この印象は変わらなかった。それにしてもこれほどの霧は初めてだった。
 晴れていれば、歯舞・色丹が目の前に見えているはずで、そういうことで、北方領土返還運動の重要拠点となっている。岬周辺には返還を訴える石碑やモニュメントが多数建っている。
 なお、灯台の崖下には花が咲き乱れていて、晴れていればさぞかし美しい風景だっただろうにと思われた。また、灯台の真裏、海側には野鳥観察舎があった。このことは初めて知った。私にはカモメくらいしか目に入らなかったが、様々な鳥が見られるのだろう。

f:id:shashosha70:20170709152321j:plain

(写真3 灯台周辺には花が咲き乱れ、岩礁が伸びていた)