ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

旅客営業の水島臨海鉄道

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(写真1 倉敷市駅に到着した水島臨海鉄道列車)
倉敷と水島を結ぶ
 全国に10社ある臨海鉄道のうちの1社で、大半は貨物輸送鉄道だが、水島臨海鉄道は鹿島臨海鉄道とともに旅客輸送も行っている第三セクター鉄道。
 臨海鉄道とは、そもそも旧国鉄と連携して貨物輸送を行うために設立された鉄道会社で、現在も10社全部でJR貨物が筆頭株主となっている第三セクター。臨海部に路線を有するところからこの名がついている。貨物輸送についてはJR貨物と直通輸送を行っている場合が多い。
 なお、東京でりんかい線を走らせている東京臨海高速鉄道や、名古屋であおなみ線を経営している名古屋臨海高速鉄道は、いわゆる臨海鉄道のカテゴリには含まれない。
 さて、水島臨海鉄道水島本線のうち、旅客輸送区間は倉敷市駅と三菱自工前駅とを結ぶ営業距離10.4キロの路線。駅数は10。
 この水島臨海鉄道に岡山滞在中の5月26日乗ってみた。
  倉敷市駅は、JR倉敷駅から徒歩数分のところに隣接しており、片面1線のホームがある地上駅。12時00分の発車。ディーゼル1両のワンマン運転。平日の日中なのに乗客はまずまず多い。
 高架線だが、超低速運転で、ノロノロと走っている。時速20キロか30キロ程度ではないか。
 弥生で列車交換。次第に工場地帯へと入ってきた。12時23分水島着。沿線随一の町で、私を除く全員が下車した。乗務員が寄ってきて「降りないのか」と問う。終点まで行くと答えると、何もないがとぶつぶつ言っている。

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(写真2 水島を出ると左窓に水島港が現れた)
 水島を出ると左窓に海が現れた。水島港で、初め漁港があり、その先が工業港となっている様子だ。
 わずか数分で終点三菱自工前12時26分着。片側1線のホームがあるだけ。駅舎もない。目の前に三菱自工の工場があるだけで、乗務員の言う通りなるほど何もない。周囲は工場地帯でコンビニの1軒もない。人通りはまったくなく時折トラックが往来するだけだ。行き止まりの終着駅としてははなはだ風情がない。
  私を乗せてきた列車は、回送列車となってそのまま直進して消えてしまった。実はその先に倉敷貨物ターミナル駅があるはずで、そこが車両基地にもなっているはず。実際、水島臨海鉄道は旅客営業も行ってはいるが、売上高で見たら貨物収入の方が多いのである。
 実は、私はこの駅に降り立つのはこれが3度目で、事情はよく知っていたが、折り返し列車が14時08分まで1時間42分もないことをうっかり失念していた。
 それこそ何もないこの駅でこのまま待っていてもしょうがないので、隣の水島駅まで歩いた。約15分の距離。水島からは列車本数がぐんと増えるのである。
 私はかつて三菱自工の工場を訪れたことも、水島の町に泊まったこともあるのだが、改めてこの路線に乗ってみたところでは、臨海線というのは車窓を楽しむ鉄道旅には向かないなと感じ入った次第だった。

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(写真3 終点三菱自工前駅ホーム。鉄路は伸びていてその先に倉敷貨物ターミナルがあるはず)