ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

写真展「日本の海岸線をゆく」

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(写真1 開催案内のパンフレット。上段の写真は平寿夫「九鬼の送り火」)
日本写真家協会創立65周年記念
 横浜のニュースパーク(日本新聞博物館)で開催されている。
  123人の作品約180点が出品されていた。大半は会員であるプロのものだが、10数人のアマの作品も含まれているとのこと。なお、協会の正会員数は約1600人なそうである。
 5年ごとに開催されていて、今回のテーマは日本の海岸線。日本は周囲を海に囲まれた島国。列島の海岸線は総延長が3万5千キロにも及ぶという。
 この展覧会では、その海岸線に見えてくる自然や人々の暮らしが描かれていた。なお、作品は今日のものばかりではなくて、1962年という古いものも含まれていて、幅広い年代で構成されていた。
 内容的には、当然のことながら漁業はもちろん祭りや民俗に題材にしたものもが多かった。巧みなシャッターチャンスということでは、長根広和「波飛沫」(2012)がよかった。まるで広重の浮世絵を見るように波間に列車がすっぽりはまっている構図が素晴らしかった。撮影地は北海道とあり、どうやら日高本線のようだった。
 報道写真は少なかった。というよりもほとんどなかった。これはこの写真展の立ち位置なのであろうと思われた。
 中には熊切圭介「敦賀原子力発電所工事」(1968)という白黒写真があって、なるほど日本は、原発は海岸線に立地しているのだったと改めて思い起こさせた。
 なお、当然ながら、<震災、その後>という東日本大震災を題材にした一連の作品があって、被災状況のみならず、被災地の表情が描かれていた。なお、これら一連写真はどうやら現地に住んでいる人たちの作品であるように思われた。
 ところで写真展の会場はニュースパークという日本新聞博物館。実際に新聞社で使われていたという、高さが7.3メートルもあるオフセット輪転機がどんと設置されていて、新聞製作の流れが説明されていた。
 また、自由・責任、正確・公正、独立・寛容といった新聞倫理綱領が解説されていて、日本やアメリカで報道の自由という民主主義の根幹をなす事柄がないがしろにされている今日の状況を改めて考えさせられる展示となっていた。

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(写真2 博物館の様子。左は輪転機の一部)