ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

世界遺産富岡製糸場

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(写真1 富岡製糸場の中核設備繰糸所。建屋も設備も当時のまま残されていることが素晴らしい)
日本の近代化支える
 上信電鉄を終点下仁田駅で折り返した後は、上州富岡駅で途中下車し世界遺産富岡製糸場に寄った。歩いても15分ほどというが、駅で自転車を借りた。うれしいことに無料だった。ついでに手荷物の預かりも無料だというので身軽になって出かけた。なるほど自転車なら5分ほどで富岡製糸場だった。

 富岡製糸場は1872年(明治5年)の開業で、日本の近代化を支えてきた我が国初の機械製糸工場である。国宝や重要文化財に指定されている開業当初からの多くの建物が現存していて2014年世界遺産に登録された。

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(写真2 煉瓦造が美しい東置繭所外観)
 入場するとすぐ正面が東置繭所。国宝である。建屋の長さが104メートルという長大な煉瓦造の建物で、1872年開業当初からの建造物。1階が作業場、2階は乾燥させた繭の貯蔵に使われていたものだという。
 現在は富岡製糸場の歴史などを紹介する施設となっていた。ここでは、蚕から繭、繰糸、生糸、絹製品へと流れる一連の工程がパネルで紹介されていた。
 次ぎに見たのが繰糸所。ここも国宝で、やはり開業当初からの建物。繭から生糸を取る作業が行われていたところなそうで、全長140メートルという長い建物にずらり繰糸機が並んでいた。当時、世界最大規模の製糸工場だったという。機械製糸工場の中核的な設備であろうか。
 構内はとにかく広大で、多くの建屋が配置されている。解説員によるガイドツアーが行われているほか、音声ガイドの貸し出しなども行われていた。
 構内には、診療所や病室などもあり、従業員は無料で診察や治療を受けることができたと解説していた。製糸工場というと、女工哀史を思い浮かべがちだが、ここは近代的な工場だったのだろう。
 操業を停止したのは1987年(昭和62年)。開業から115年間も休むことなく操業を続けてきたということだが、素晴らしいことは操業停止後も建造物が創業当初のまま残されているし、機械設備もきちんと保存管理されてきたこと。我が国では不要になるとすぐに廃却処分される事例が多いが、ここでは奇跡的に全施設が残されていてこれが世界遺産として大きな価値となったものであろう。また、これには所有者であった片倉工業の貢献が大きかったと言えるものであろう。

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(写真3 富岡製糸場正門)