ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

若松線

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(写真1 折尾駅2番線ホームで発車を待つ若松線819系列車)
DENCHAが走る
 若松線とは、JR筑豊本線の若松駅-折尾駅間の愛称である。
 筑豊本線そのものは、若松駅から鹿児島本線の原田(はるだ)駅間を結ぶ全線66.1キロの路線だが、途中、若松線のほか福北ゆたか線、原田線などと三つの系統に分かれて運転されており、全線を通して運転されている列車は1本もない。特に原田線の部分は運転本数が極端に少なく、全線を続けて乗ろうとするとなかなか難物の区間である。
 4月14日、折尾9時20分発若松行き。真新しい列車が到着した。ヘッドにDENCHAの文字。DUAL ENERGY CHARGE TRAINの略で、BEC819系架線式蓄電池電車。3月から若松線を走る全編成に投入された新型車両である。
 筑豊本線は若松-折尾間が非電化、折尾から直方方面は電化区間となっており、これまで気動車が使われていた。これを蓄電池式電車に替えたもので、このような方式はJR東日本の烏山線でみられる。いずれも電化-非電化区間を通しで運転するための効果的な車両である。
  列車は2両編成。蓄電池は床下に配備されていたが、蓄電池の容量を確保するためには2両が必要だったのかも知れない。パンタグラフは一つ。なお、直方から到着した際にはパンタグラフは上がっていたが、折尾からの発車を前に下げられた。この先は蓄電池による走行となるわけである。
 発車はとてもスムーズだし、走行も静か。Commuter Trainの表示が車体に記されていたが、通勤用都市間電車というほどの意味であろう。そういうことでか、車両は3つドアのロングシートだった。

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(写真2 行き止まりの終着駅の情緒が漂う長いホームの若松駅)
 9時35分若松着。区間距離が10.8キロ、駅数で6駅、わずか15分の所要である。若松へは一つ手前の藤ノ木を出てから長いアプローチを経て到着した。いかにも行き止まりの終着駅に向かっているという風情で、横須賀線の久里浜駅にも似ていて独特の情感があった。
 筑豊本線はそもそも筑豊炭田からの石炭を若松駅から積み出すために栄えた路線。現在は石炭はおろか貨物の取り扱いは一切なく旅客営業のみだが、1面2線の長いホームがあって、2両編成の列車しか発着しない今日にあってはかえって寂しさも感じられた。ホームの端には石炭輸送に活躍したホッパ車が展示されていて往時を偲ばせていた。

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(写真3 構内に展示されていたホッパ車。往時石炭輸送に活躍した)