ABABA’s ノート

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JR発足30周年

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(写真1 『JNR編集時刻表』'87年4月号表紙)
塗り変わる鉄道地図
 国鉄が分割民営化されて発足したJRが4月1日で30年となる。
 このことで、手元に記念すべき時刻表がある。JR発足に向けてこの年の3月に弘済出版社から刊行された『JNR編集時刻表』1987年4月号で、翌5月号からは現在のようなJR共同編集となったから、JNR編集は国鉄監修からJR編集に渡るわずか1号だけの貴重なもの。
 時刻表として全般的な体裁や構成は今日のものと変わりはない。時刻表を開くと、「4月1日国鉄はJRへ。」「4月1日6旅客鉄道会社スタート。」の見出しがあり、新会社のマークや呼び名、6旅客鉄道会社の受持範囲などの記事と併せ、3月31日までに発売したきっぷで、4月1日以降有効となるきっぷは、そのまま使えます、などと紹介している。また、「お客様へのサービスアップ、健全経営を目指して生まれ変わります。」といった国鉄時代にはついぞ見られなかったような記述もあり、JR発足への意気込みが伝わってくる。
 なお、今日では3月に定着した大幅なダイヤ改正はこの時点には行われていない。これはJR発足と大幅ダイヤ改正を同時に実施することでの混乱を避けるためだったと思われ、ダイヤ改正はあらかじめ前年の11月に実施されていた。なお、今日のようにJRグループ各社が歩調を合わせて大幅ダイヤ改正を行うようになったのは翌1988年からである。
 時刻表の前付けに掲載されている索引地図、いわゆる時刻表地図を見ると、この30年で鉄道地図が随分と塗り変わったことがわかる。
 JRの発足に先立って不採算路線の整理はすでに進められていて、このことによって鉄道地図は一定程度安定するものと思われたが、実際にはJR発足後も引き続き整理は続けられていて、今日の時刻表のものと見比べるとその際は歴然とする。

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(写真2 『JNR編集時刻表』'87年4月号索引地図北海道のページ)
 顕著なのは北海道や九州で、特に北海道の場合、この号に載っていた天北線、羽幌線、名寄本線、歌志内線、上砂川支線、幌内線、深名線、池北線、標津線、江差線、松前線、それに留萌本線の一部がすでに廃線になっている。この中には池北線がちほく高原鉄道へと第三セクターに承継されたものの結局廃線となったものもある。
 営業距離数に関係なく、線区の数だけで見たらJR発足後廃線となったのは12(ちほく高原鉄道を含む)に上り、何と現在の13線区(北海道新幹線を除く)に近い数だけ削られたことになる。しかも、その後の新線開業は一つもないという現実である。
  JR北海道は、さらに現行の線区のドラスティックな見直しも行っていて、数年後の北海道の鉄道地図は実に寂しものになっているのではないかと懸念される。