ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

文旦届く

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(写真1 香りがいっぱいに広がる文旦)
高知から春の便り
 今年も高知から文旦(ぶんたん、あるいはざぼん、ぼんたんとも)が届いた。わが家では文旦の便りは春が来たと感じる。
 この文旦は、清流四万十川の畔で栽培されたもので、わが家には紹介してくれる人がいて毎年生産農家から直接送ってもらっている。
 段ボール箱を開けるとすぐさま香りがいっぱいに広がる。柑橘類にあってもこれほど芳香の強い果物も少ないのではないか。しかもその香りが持続していつまでも保つ。もちろん食べておいしいが、そのまま置いておいても室内に安らぎが広がる。
 鮮やかな黄色。直径は12センチほど、重さは500グラムほど。皮は厚くて1センチにもなる。収穫後もすぐには出荷しなくて数十日間も寝かせているらしい。そのままでは酸味が強すぎて苦いかららしい。

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(写真2 二重の皮をむいて取り出した文旦の実。これは2個分)
 皮をむいて、さらに内側の甘皮もむいて中身を取り出して食べる。内側の皮も苦いのである。
 果汁はさほど多くはない。実は薄い黄色みを帯びており、食べると独特の風合いが感じられる。柑橘類特有の酸味と甘味である。いかにも癖になるおいしさである。2個をむいて一気に食べると満足できる。
 わが国では収穫量の約9割も高知県とされるが、文旦はどうも全国的ではないようで、近所の商店などでは見かけることは少ないようだ。
 食べてこれほどうまいのにこれはなぜか。どうも食べにくさにあるのではないかと思われる。近年、若い人たちの間では手間暇のかかる食べ物が敬遠されがちで、夏みかんやグレープフルーツなども好まれないといわれるが、文旦などはさぞかしその最たるものであろう。
 しかし、厄介な手数をかけてむいた文旦ほどうまいものも少ない。柑橘類が好きな私にして文旦は最高である。