ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

「時刻表2万キロ」の終着駅

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(写真1 間藤駅待合室に掲示されている宮脇俊三さんを記念する資料)
鉄道のある風景
 間藤(まとう)駅はわたらせ渓谷鉄道の終着駅。わたらせ渓谷鉄道は、群馬県桐生市の桐生駅から栃木県日光市を結ぶ路線で、旧国鉄の足尾線である。全線44.1キロ、駅数は17である。間藤駅は片側1線のホームがあるだけ。駅前には古河の工場があるが、駅の周辺には商店も見当たらない。
 しかし、この間藤駅は国鉄全線完乗の奮戦を記した宮脇俊三著『時刻表2万キロ』で最後の1線として取り上げられたところ。同書はわが国鉄道紀行文学の傑作だが、宮脇さんは最後の1線を「足尾線にはわるいが、最後の一線はもうすこし情緒のある線区、たとえば、一日二往復しかない中湧別‐湧別間あたりで乗り終えて夕方のオホーツク海岸をひとり感慨にふけりながら…」と書き出していた。
 私も宮脇さんの多くの著作に啓発されて鉄道好きが高じたようなもので、2003年7月17日のJR線全線踏破の折には、同書のことが頭にあって1年くらい前から最後の1線をどこにするか腐心もし、結局は留萌本線増毛駅にしたのだった。
 間藤の駅舎には、2003年に逝去した宮脇俊三さんに関する資料が自筆原稿などとともに展示されていて、なるほど、宮脇さんの最後の1線は自分のみならずかくも多くの人の印象となっているのだと改めて感じたのだった。(2011年1月9日撮影)