ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

風が強く豪快な風景の襟裳岬

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(写真1 灯台から見た襟裳岬の突端。岩礁が沖合に連なっている)
岬と灯台のある風景 選
 日高山脈が太平洋に鋭く突き出た襟裳岬。海岸段丘が絶壁となっており、岬の突端は岩礁が沖合数十メートルにまで点々と連なっている。座標は北緯41度55分33秒、東経143度14分38秒である。
 岬周辺に樹木は見当たらなく、海抜73メートル、突端の一段と高い所に襟裳岬灯台が立っている。白亜のややずんぐりした灯台だ。
 劈頭に立つと、まさしく風が強い。見晴らしはいい。自分の立っている後背地を除いて遮るものはないから270度ほどの眺望だろうか。眼前に大きな太平洋が広がっている。両手を広げて崖から飛び降りたい、思わずそんな誘惑にかられる風情だ。
 襟裳岬は風の強いところ。様似から乗ったバスの運転手が岬が近づくと「風が強いので帽子を吹き飛ばされないよう注意してください」と丁寧にアナウンスしてくれたほど。岬はすべからく風の強いものだが、ここ襟裳岬は風速10メートル以上の風の吹く日が年間290日にもなるというから驚く。時には50メートル以上の風の吹く日もあるのだそうで、こうなると外を出歩くこともできないのだという。これはこの日泊まった岬の付け根にある旅館の女将が話してくれた話。
 また、積雪はいつの年でも多くはないのだという。ただ、いつまでも寒くて、夏でも20度を超す日は何日もないから、季節に夏がないようなもので、季節は春、秋、冬と巡るのだと女将が苦笑いしながら言っていた。
 襟裳岬-これほど旅情を感じさせてくれる岬もない。私の大好きな岬である。(2010年2月11日撮影)