ABABA’s ノート

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池田20世紀美術館

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(写真1 池田20世紀美術館外観)
20世紀西洋絵画の秀品
 静岡県伊東市所在。熱海から伊東線で約25分終点伊東下車。伊東駅からはバスで約30分。伊豆山中に分け入るように進み、一碧湖を経て池田美術館下車。
 実業家池田英一氏の個人コレクションの展示が中心の私設の美術館。運営は公益財団法人。コレクションが20世紀の絵画や彫刻であるところからこの名が付いたようだ。
 なるほど、20世紀西洋美術が好きなら垂涎のコレクションだ。コレクションは1400点にも上るらしいが、この日展示されていたものだけでも、ルノワール、ピカソ、ミロ、ダリ、シャガール、ウォーホルなどとあってその素晴らしさにため息が出てくる。

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(写真2 エドヴァルド・ムンクの「罪」=会場で販売されていた絵はがきから引用)
 エドヴァルド・ムンクの「罪」(1901)がいい。黒一色のリトグラフだが、長い黒髪を腰のあたりまで垂らした若い女性の絶望の表情が印象的だ。この女性はムンクの愛人だったらしいが、どのような破局を迎えるとこのような虚ろな表情になるのか。
 ジャン・コクトーの「アルルカンの肖像」(1950)。パステル画で、大胆なデッサンでユーモアが感じられる。
 パブロ・ピカソは「王様のケーキ」(1967)。クレヨン画らしい自由なタッチが面白い。
 サルバドール・ダリの「ヴィーナスと水平」(1925)は、一見してピカソ作品かと見紛うた。油彩で、バルセロナで開催されたダリ初個展の出品作品だということである。この時ダリ21歳。ダリといえばシュールリアリズムだが、この頃はまだそこには傾倒してないようで、かえってキュビズムの影響が感じられる。
 また、この日は特別展として「北久美子展」が開催されていて、幻想的で色彩豊かな独特の風景に驚嘆した。とにかく繊細で物語に引き込まれるような魅力があった。
 なお、伊東へは、先日のこと熱海に出張があった折りに足を伸ばした。毎年この時期、同じ場所、同じメンバーで忘年会をやっていて、もう数十年にもなるのだが、熱海駅に降り立ったら駅舎が見違えるように新しくなっていた。昨年来たときには工事の真っ最中だった。

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(写真3 北久美子「それぞれの景色」=会場で販売されていた絵はがきから引用)

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