ABABA’s ノート

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沖縄県立博物館・美術館

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(写真1 沖縄県立博物館・美術館外観)
沖縄美術の流れ
  沖縄県那覇市所在。那覇市の中心街にあり、沖縄都市モノレールゆいレールおもろまち駅から徒歩7分ほど。この駅には免税店を含む巨大なショッピングモールが直結しており人気の地域。
 コンクリートで固めたまるで城砦のような建物が迎えてくれた。ここは博物館と美術館が一つの建物の中に収まっており、入ると左に博物館、右に美術館と分かれる。入場料は別で、共通入場券がある。

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(写真2 「沖縄美術の流れ」パンフレット)
 折から美術館では「沖縄美術の流れ」と題するコレクション展が行われていた。戦前、戦後、復帰後、現代に分けて展示されており沖縄の美術が概観できるようで大変幸運だった。
 順に見ていくと、沖縄の美術が本土と異なる風土と歴史の中から育まれてきたことがよくわかって興味深かった。
 大変魅力ある作品が多くて、玉那覇正吉「老母像」(1954)など歴史を深く刻んだような顔面、鋭い視線、ごつごつした手、琉球風の衣服が描かれていて圧倒的存在感があった。
 うれしかったのはニシムイ美術村のコーナーがあったこと。沖縄の戦後美術を語る上で欠かせないことだから当然ではあるが、原田マハ著『太陽の棘』を読んでかねて非常なる関心を持っていたからうれしかった。
 ニシムイとは、戦後、那覇に成立した芸術村のことで、沖縄の美術の勃興に起ち上がった若い芸術家たちの活動拠点だった。原田の著作では、ニシムイの芸術家たちと米軍兵士たちとの交流が描かれていた。
 ニシムイのコーナーで注目したのは名渡山愛順「白地紅型を着る」(1946)。琉球風に髪を結い、琉球風の着物を着て遠くを見つめるような若く美しい女性が印象的だ。
 また、当然のことながら、アメリカ占領下の沖縄、米軍基地のことなどと敗戦後から現在に至るまで沖縄の立ち位置を示す作品が多くて、本土では見られない独特のコレクションだった。

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(写真3 名渡山愛順「白地紅型を着る」=戦後70年特別企画展図録から引用)