ABABA’s ノート

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特別展『禅』

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(写真1 開催案内パンフレット。中央の絵は白隠慧鶴「達磨像」の部分)
心をかたちに
 東京国立博物館で開催されている。
 禅に関わる絵画のほか書、仏像、陶芸品などと広範な展示となっていた。それも、わが国への禅の導入から戦国武将への浸透などと多角的な展開となっていた。
 臨済宗や黄檗宗の各寺に関わる高僧の肖像画が多数出品されていて、建仁寺の明庵栄西像、東福寺の無準師範像、建長寺の蘭渓道隆座像などと禅僧の顔立ちや姿が映し出されていて興味深いものだった。中でも臨済義玄像はいかにも禅僧らしい厳しい風貌に感心した。
 展示品中最も目を引いたものは白隠慧鶴の「達磨像」であっただろうか。大きな絵で、ぎょろっとした目つきを大胆な筆致でユーモラスに描いたもので、私はこの絵を見たのは2度目だが、何度見ても印象深い。
 なお、展示品は300点にも及ぶのだが、展示替えが多くて、開催期間中通して展示されているのはわずかに15%ほど。展覧会で途中展示替えはままあることだが、それにしてもこれはひどくはないか。だから是非にも見たいと期待していったのに空振りに終わったものが少なくなかった。
 その一つが雪舟等楊の「慧可断臂図」。禅宗の祖達磨の座禅中に、入門を請う慧可が自らの腕を断ち切って決意を示した場面を描いているのだが残念ながらこの日は展示替えで見られなかった。私はこの絵をかつて京都国立博物館で見たことがあって、あの凄まじいまでの緊張感をもう一度味わいたいと願っていたものだった。