ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

SLキューロク館

f:id:shashosha70:20161113180034j:plain

(写真1 蒸気機関車を模したSLキューロク館と左奥は真岡駅駅舎)
シリーズ車掌車を訪ねて
 SLキューロク館は、真岡鐵道真岡駅に併設されている鉄道博物館。埼玉県真岡市所在。真岡市SLの走るまち拠点施設として位置づけられている。
 蒸気機関車4両が静態・動態保存されており、このうち開館最初の1両が9600形(49671号機)であるところから博物館名にこの名が付いている。4両のうちC12形(C1266号機)ともう1両C13形を使用して毎週土休日にSL列車が運行されている。なお、4両目は今年9月に静岡から引っ越してきたばかりのD51形(D51146号機)。
 また、車掌車が4両、緩急車が2両も保存展示されており車掌車好きには何度でも訪れたいところ。実際、私はつい先日も訪れたが、これが3度目だった。
 真岡駅は、JR水戸線、関東鉄道常総線と接続する真岡鐵道真岡線の起点下館駅から約30分。駅が近づいてくるとSLを模したとおぼしき駅舎が迎えてくれた。SLキューロク館も駅舎同様にSLを模した建物となっている。
 まず、目に付くのが連結された貨車の展示。1両目が車掌車、2両目無蓋貨車、3両目有蓋貨車、そして4両目が緩急車という編成である。
 車掌車はヨ8000形で、ヨ8016と表示があった。ただ、調べてみたら、ある資料によれば、当初はヨ8614号車だったはずとのこと。真岡に来て車両番号が変わったらしい。それはともかくヨ8000形は旧国鉄の車掌車としては最も新しい設計のもので、車掌車として初めてトイレが設置されているなど居住性の向上が図られている。昭和49年から製造されたとある。ただし、本車両の製造所・年の銘板などは付いていなかった。内部はのぞき見る程度だが、机、テーブル、ストーブ、それにトイレが配置されていた。
 なお、2両目の無蓋貨車はト1形で、一畑電鉄所属のものだったらしい。3両目がワ11形有蓋貨車で、蒲原鉄道とかろうじて読み取ることができた。4両目が緩急車で、ワフ16と表示があった。緩急車とは貨物室が付いている車掌車のことだが、貨物列車を構成する代表的貨車が一連になっているのも見どころのあるところ。

f:id:shashosha70:20161113180204j:plain

(写真2 動態保存されていた車掌車ヨ8593)
 この貨車の編成から少し離れたところに、車掌車ヨ8593が1両だけでぽつんと展示してあった。ぴかぴかに磨かれていて、あるいはSLなどに連結されて運行されるものかも知れない。いわゆる動態保存である。銘板には昭和53年日本車輌の製造とあって、側面には川崎貨物駅所属を示す記載もあった。これは内部に入れるようになっていて、いかにもヨ8000形らしくトイレが設置されていた。
 一方、駅構内の端の側線にまるで放置されたかのように留置されている貨車の編成があった。ここに、ディーゼル機関車に牽引されるように1両の緩急車と2両の車掌車が連結されていた。
 緩急車にはワフ29760との表示があって、このワフ29000形は比較的新しいタイプのもので、車掌室と貨物室の面積が半々となっているのが特徴のようだ。
  この編成は離れたところにあって近づくことができないし、車掌車の車体には一切の表示が残っていないから定かではないが、この車掌車2両は、ある資料にればともにヨ5000形のヨ14594とヨ14720であるらしい。車掌車、緩急車ともに3両は塗装もはがれ気味で保存状態は悪いように見えた。

f:id:shashosha70:20161113180329j:plain

(写真3 構内の側線に留置されている、右から29000形緩急車とヨ5000形車掌車2両)