ABABA’s ノート

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セミナー「3次元造形の最前線」

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(写真1 満員の聴講者を集めて行われたセミナーの模様)
溶接接合工学振興会の主催
 このセミナーは、毎回時宜を得たテーマを選んで、しかもじっくりとディスカッションを重ねて企画を練っており充実したプログラムとなっているのが好評で、27回目の今回は10月18日大崎で行われ、テーマは3次元造形、特に3DP(3D Printer)、RP(Rapid Prototyping)、AM(Additive Manufacturing)を対象に、3次元造形の歴史や基礎から、熱源ごとの3次元造形技術とその応用例など広範なプログラムで構成されていた。
 いわゆる3Dプリンターとして社会的にも関心が高まっている極めて今日的テーマについてその最前線が紹介されていて、特に講師陣が、3次元造形に関する現在のわが国の第一人者が顔を揃える豪華ぶりで、それも溶接接合について言及するレクチャーが多くて、いっそう興味深いものとなっていた。
 歴史的には、そもそも3D造形技術は1980年に日本人研究者による発明だったものの、特許の取得の手続きに齟齬を来したほか、その後のブランクもあって今日では欧米に大きく水をあけられているとのこと。
 日本でもナショナルプロジェクトが立ち上がるなどの取り組みが出てきているものの、欧米に追いつくのは容易ではないとの指摘が出ていた。特に、装置や材料の開発で決定的な遅れが目立つということだった。
 実際、3次元造形技術の開発には、装置開発、ソフトウエア開発、金属粉末開発が重要だということで、特に世界が高速化、高精度化、大型化、複層化に進んでいる今日ではオールジャパンの取り組みが肝要とのことだった。
 10本あった講演は、いずれも内容が濃く示唆に富んだものだったが、この中で興味深かったものは藤井啓道東北大学大学院工学研究科助教による「超音波接合を利用した金属積層造形法」と題する講演。
 超音波接合とは、超音波を応用した固相接合法で、雰囲気制御が不要、残留応力が小さい、低エネルギーで接合可能、短時間で接合可能といった利点があり、超音波接合そものは、古くからあって溶接業界では馴染み深い接合法だが、これを3Dに応用するというのはまったく斬新な発想で、おそらくわが国では着手しているものはほかにいないのではないか。
 藤井助教自身はまだ若い研究者で、アメリカ留学中に着想を得たらしいが、金属箔材を積層するという極めてユニークなプロセスで、ローラーでテープを積層していくという手法が面白かった。
 まだまだ研究の余地は多いようだが、実用化を目指して大いなる発展を期待したい内容だった。