ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

映画『イレブン・ミニッツ』

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(写真1 映画館に掲示されてあったポスターから引用)
パズルのピースがはまった衝撃のラスト
 監督はポーランドの名匠イエジー・スコリモフスキ。ポーランド/アイルランド合作。
 約束の午後5時きっかりに女優をホテルの一室に呼んで面接をする映画監督。下心が見えているが女は仕事が欲しいのかきわどいやりとりにも上手に受け流している。
 その現場に踏み込もうと自宅から走る女優の夫。午後5時に3分遅れてホテルに着いた。
 路上の屋台でホットドッグを売る男。
 犬の散歩かホットドックを買いに来た女。
 宅配を届けに来た家の主婦と寝ているバイク便の若い男。いつもは5時なのにこの日は早く帰宅した夫。
 ホットドック屋とバイク便の男は5時に待ち合わせしていた。二人は親子のようだ。
 超高層ビルでゴンドラに乗り壁の修復をしている若い男。途中階でゴンドラから若い女が住む部屋に乗り移る。5時の約束だった。
 精神が錯乱した男が暴れるアパートで産気づいた妊婦を救出する救急隊員たち。
 2014年7月11日の午後5時から同時無差別に発生した、こうしたいくつものエピソードがパラレルに進む。一つのエピソードはせいぜい5分か10分程度か。
 初めの頃はそれぞれのエピソードがどういう関連があるのかわかりにくく、どこかで関連づけられるのだろうかと思いながら、その時がミソなのだろうなと考えながら映画を見ていた。
 とにかく映像がすごい。手持ちカメラを多用しているようだし、ほかにも監視カメラやウエブカメラ、スマホの映像などとあって極めて斬新。短いエピソードをつないでいくには秀逸なカメラワークと言えるだろう。そして、この激しく切り替わる映像にマッチしているのが、これまた激しい音。めまいがしてくるようだ。
 バラバラだったパズルのピースがはまるように、パラレルに進んできたエピソードが一箇所で衝突したとき、驚愕のラストが待っていた。いい映画はいいラストを描くものだが、これほど呆然とさせる衝撃のラストシーンもないものだ。映写時間81分のこの映画はラスト約10分のためにあったようなものだ。だから、初めの71分は意味がわからなくていらいらするかもしれない。
 それでも、やはり、まるで、テロがあり、災害があり、交通事故もあるし、突然襲ってくる不条理を本作は見事に描いたと言えるだろう。