ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

気仙地方の椿茶

f:id:shashosha70:20160819105542j:plain

(写真1=椿茶の茶葉)
日本北限のお茶
 気仙地方とは、岩手県南東部三陸海岸に面する大船渡市や陸前高田市などを含む地域のこと。なお、宮城県に属する気仙沼市とは隣接している。いずれも東日本大震災では津波被害の甚大だったところである。
 この大船渡から「椿茶」が送られてきた。地元で高圧ガスの製造を営む企業の方が贈って下さったもので、この会社には震災後毎年お邪魔して震災のことや復興の状況などお話を伺ってきていて、言わばこの5年間に渡って定点観測をさせていただいてきたようなもの。
 早速、お茶を淹れてみた。茶葉は一般の茶のように捻れてはいなくて1センチ程度にカットされており、緑というよりはわずかに茶色がかっている。
  熱湯300ミリリットル当たり小さじ3杯分(約3グラム)の茶葉を入れ、5分ほど蒸らすとある。茶器には、この際、南部鉄器の急須を用いてみた。
 そうすると、色合いは深緑ではなく薄い茶色である。口に含むとやさしい味わいがあり、ほのかに甘い味がする。これは甘茶がブレンドされているからなそうで、甘茶は岩手県北部九戸村産のものだという。砂糖は使っていないし、ノンカフェインだということである。

f:id:shashosha70:20160819105710j:plain

(写真2=やさし色合いの椿茶)
 椿茶の原料はやぶ椿なそうで、この気仙地方では昔から飲用してきたという。日本北限のお茶ということだ。そう言えば、この地方を取材していて目についた、あのこんもりした樹木がやぶ椿だったのだ。
 このやぶ椿も津波に襲われたが、幸い被害に遭わなかった椿を丁寧に再生して椿茶の復活に成功したもののようで、そう思うと、強く美しい椿茶がいっそう味わい深くなるようだった。
 このお茶は、あるいは客をもてなすというよりも、一人静かにいただくのが似合っているように思えて、あの三陸の美しい海岸を思い起こしながらいただくと幸福感が広がっていくようだった。

f:id:shashosha70:20160819105836j:plain

(写真3=椿茶のパッケージ)